流される……時代の流れに……
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「ん……」
ハルトの目覚ましは、朝日だった。
ダークカブトとの戦闘より一夜明けた朝。全身が訴える疲労感を抑えながら、ハルトは部屋のドアを開ける。
「やあ。おはよう」
目をこするハルトへの挨拶をしたのは、ラビットハウス店主のタカヒロだった。
「あ、おおはようございます。タカヒロさん」
顔を努めてシャキッとしなおし、タカヒロに頭を下げた。
夜勤明けだというのに、タカヒロは疲れ一つ見せずに、にこやかな表情を見せる。
「今日はラビットハウスは休日だ。君は何かすることはあるのかい?」
「え?」
そう言われて、ハルトは今日が週に一度のラビットハウスの休日だと思い出した。
「そっか……今日、休みなんだ……」
「おや。ここに来てからしばらく経つと言うのに、休みの日を忘れてしまうのかい?」
「あはは……まあ、予定という予定はありませんけど……」
「何も後ろめたさを感じる必要はない。君は今、立派にここの従業員として働いているよ。休みを得るのは当然の権利だ」
「あ、ありがとうございます。……と言っても……」
ハルトは頬をかく。
「ハルト君は、休みはどうしているのかい?」
「今のところ、見滝原のどこかで大道芸ですけど。今日はどこでやろうかな……?」
「それなら、見滝原公園の噴水広場はどうだろう? あそこなら人も集まるだろう」
「公園か……はい。ありがとうございます」
「頑張ってくれ」
タカヒロはサムズアップをして自室に戻っていった。
予定が決まったハルトは、そのまま一回のリビングルームへ入る。
「あ、おはよう」
「おはようございます」
「おはよー」
すでにテーブルには、先客がいた。
それぞれ学校の制服に着替え終えているココアとチノがいた。
チノは黙々とフレンチトーストを食しており、その隣ではトーストを口に加えながらココアがウトウトとしている。
「あれ? ココアちゃん起きてる?」
「おひてふひょー」
「なんて?」
「多分、起きてるよだと思いますよ」
チノが咀嚼のスピードを緩めずに答えた。
まるでココア翻訳機だなと思いながら、ハルトは皿にトーストを乗せて座る。
「チノちゃんたちは、今日は学校?」
「はい。ラビットハウスの休日といっても、平日ですから」
「学生は大変だね。勉強とか色々あるでしょ?」
「はい……ココアさん。起きてください」
チノはココアの袖を引っ張る。ココアの顔がクラクラと揺れるが、彼女の変化は口に挟まったパンが皿に落ちただけだった。
「おひてふひょー」
通訳すると、起きてるよ。そんな説得力皆無なココアを、チノが懸命に揺らしている。
やがて大きな欠伸をするココアを見て、「はあ。ココ
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