暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga6-C遭遇〜Huckebein 2〜
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――短距離瞬間移動(ショートジャンプ)――

イリスの問いに答えると同時、その巨体や戦斧など何でもないとでも言うようにドゥビルの姿が掻き消える。しかしそれでも慌てないイリス達。ドゥビルは一瞬でミヤビの背後を取り、戦斧を横薙ぎに払う。標的となったミヤビは振り向きざまに掲げた両腕で戦斧の刃をガードしたが、「ぅぐ!」その威力には踏ん張り切れず、今度は彼女が数十mと吹っ飛ばされた。

「あの女は俺に任せてもらおう」

一足飛びで追撃に入るドゥビルを、サイファーとヴェイロン、イリスとルシリオンは黙って見送った。サイファーは「余裕そうだな」とヴェイロンの側から少しずつ距離を取っていく。対するイリスも逆手持ちになるように鞘を具現化させて「だって余裕だし」とルシリオンから離れていく。剣士は剣士で勝敗を決する。言葉にせずともイリスとサイファーは決めていた。

「フッ。管理局最強の剣士の実力、見せてもらおうか!」

「魔導殺しの真価とやら、見せてもらおうか!」

ある程度ヴェイロンとルシリオンから距離を取った瞬間、2人は同時に攻撃に出た。高速に振るわれる互いの必傷の剣戟。さらに別の方角からは、ミヤビとドゥビルの攻防による激突音が聞こえてきた。ルシリオンはその様子を黙って見守っている。

「どうなってんだ・・・!? ディバイダーは稼働してんだぞ! 分断だって機能してるはずだ! なのにどうして、公僕にいいようにやられてんだ!」

ヴェイロンは混乱していた。エクリプスウイルスの感染によって得られた対魔導師へのアドバンテージ。そのおかげでこれまで楽に人を殺してこられた。何せ魔法もその他の攻撃も通用しない体、そして魔導師の防御魔法すら無意味と化す攻撃手段を手に入れたのだ。それだからこそ今、その魔導師を相手に防戦一方で、ただひたすら傷付けられているサイファーとドゥビルの姿に、ヴェイロンは初めて恐怖に似た感情を抱いた。

「ん? ようやく喋られるようになったのか。ならば・・・」

――闇よ誘え汝の宵手(コード・カムエル)――

「あ゛っ!? 何してんだテメェ!」

「いちいち吠えるな、鬱陶しい。聴取は連行してからにするつもりだから、それまで大人しくしていろ」

自分の影から伸びてきたペラペラに薄い触手に拘束されたヴェイロンが怒鳴るが、触手は彼の口も塞ぐようにぐるぐる巻きにされたことで「むーむー!」と唸ることしか出来なくなった。

「そろそろうちの隊長と頼れる部下が、お前たちの仲間を完全に撃墜するぞ」

挑発するようにルシリオンはそう伝え、幼馴染であり所属する部隊の長、イリスを見た。サイファーはこれまで感じたこともないほどの焦りを抱いていた。手にする二刀一対の黒刀は今日まで何十人という魔導師や騎士、何の力もない民間人を斬り殺してき
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