加速世界の中で
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だった。
「可奈美ちゃん!」
何がどうなっていたのかが全く分からない。
だが、突然可奈美とダークカブトが消えたと思ったら、可奈美はうつ伏せで倒れており、見知らぬ青年も近くの岩場で横になっている。
ハルトは可奈美を助け起こした。
「どうなっている? ダークカブトは?」
その問いに、可奈美は言葉ではなく震える指で答えた。
可奈美が指差したのは、今ユラユラと揺らめきながら起きた、見知らぬ青年だった。
「あの人が……ダークカブト」
ハルトは可奈美に肩を貸しながら、ダークカブトと対峙する。彼は一歩一歩、重い足取りで可奈美を凝視しながら近づいてくる。
「お、おい! 来るな!」
ハルトはソードガンの銃口を向ける。だが、ダークカブトは恐れることもなく歩を続ける。
「止まれって!」
ハルトは発砲した。ダークカブトの周囲の潮だまりが爆発するが、それでも止まらない。
ハルトはソードガンを剣にするが、
握る手の上に、可奈美の手がかぶせられる。
「可奈美ちゃん?」
「大丈夫」
可奈美はゆっくりとソードガンを降ろさせた。彼女はハルトから離れて、ダークカブトへ向かう。
彼女は右手を上げて、少しだけハルトの方を向く。頷いた彼女の口元が弧を描いていた。大丈夫なのかと、ハルトは可奈美から、ダークカブトへ視線を移す。
「君は、本気かい?」
ダークカブトの問いに、可奈美は迷いなく頷いた。
「私は、絶対に。その気持ちに間違いはないよ」
「そう……」
二人の間で沈黙が流れる。付いていけないハルトは、ただただ見つめることしかできなかった。
『カァー!』
だが、そんな沈黙を破る存在がいた。
見ていられなくなったのか、コエムシがダークカブトが現れた地点から見下ろしている。
「何だ何だ? このクソみてえな茶番! おい、ダークカブト! テメエ、さっさと処刑しろよ! 命やるって言ってんだろうが!」
「ごめんね。コエムシ」
『ああ?』
コエムシが声を荒げた。
ダークカブトは、一度可奈美を振り返る。
「以前の僕はひよりを助けたかった。でも、僕の代わりにアイツが今は守っている。そしてここには、別のひよりを助けたい人がいる。違うひよりでも、ひよりを助けたい人がいるなら、僕にその人を倒すことなんてできない」
「ダークカブト……」
『はあ? テメエ、そのまま天道総司に負けっぱなしでいいのかよ? お前、そんなんで……』
「僕は……僕は、彼にひよりと世界を託した。そして彼女にも!」
『はあ……お前、やっぱりいらねえや』
コエムシの声色が変わった。
その瞬間、その妖精から、緑の光が放たれた。
まっすぐ、可
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ