加速世界の中で
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「はっ!」
可奈美は、急いで千鳥を横に流す。千鳥の刀身に、ダークカブトのクナイガンが突き刺さろうとしている。
その中、ダークカブトは語った。
「君とは僕と同じ臭いがする」
「同じ?」
「誰かを取り戻したい。その気持ちがある……そんな臭い」
「! それが……どうしたって?」
可奈美は、ダークカブトを蹴り飛ばす。
そのまま、可奈美はダークカブトへ斬りこむ。
その斬撃を防ぐ中で、ダークカブトとの会話は続く。
「君はどうしてその人のために誰も犠牲にできないの? その人のことが大切じゃないの?」
「大切だよ……大切に決まっているよ! 私は……!」
クナイガンを斬り流し、大きく振りかぶる。
「私は! 姫和ちゃんを……!」
「ひより……?」
だが、振り下ろされた切っ先を、ダークカブトは腕でガード。そのまま回り込み、可奈美の腹を殴り飛ばす。
「うっ!」
迅位の速度の中で、可奈美の動きは止まる。
潮の香が鼻をくすぐる中、可奈美はボロボロの顔で見上げる。
ダークカブトはすさかず可奈美の襟を掴み、無理矢理立たせる。その黄色のバイザーが、すぐ目の前に来る。
「ひよりが大事じゃないの? 他の人なんてどうでもいいじゃん。他の人を犠牲にしてでもいいじゃん?」
「そんなことない! 私にとっては……、舞衣ちゃんたちも……まどかちゃんやハルトさん、この町の皆も大切なんだ!」
聖杯戦争のシステム。それは、同じ参加者を葬ることで、願いを叶えるシステムだ。さらに、人の命を使い魔たるサーヴァントに注げば強化もできる。
これから現れるであろう、可奈美のサーヴァントも、その例外ではないだろう。
それを脳裏に走らせた上で、可奈美は叫んだ。
「この聖杯戦争……間違ってるよ!」
「間違ってる? どうして?」
彼の声は、本気で分かっていない声だった。背丈や体格、声は大人だが、その子供としか思えない彼に、恐怖すら感じていた。
ダークカブトは首を傾げる。
「簡単にひよりを取り返せるのに……僕も生きていたら参加したかったのに……!」
「生きていたら?」
だが、ダークカブトはそれ以上続けなかった。
彼はそのまま可奈美を蹴り飛ばし、次の行動に移る。
『1』
可奈美がダークカブトのクナイガンを弾き飛ばしたのと時同じく、ダークカブトはベルトのカブトムシの足にあたる部分のスイッチを押す。
『2』
「どういうこと? 生きていたらって?」
「そのままの意味だよ」
ダークカブトは、加速した時間流の中で、その手を見ろした。
「僕はもう死んでいる。コエムシが生き返らせたんだ」
「生き返らせた?」
「僕も、ひよりを助けたい。ねえ、ひより
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