第8話 八雲の怪:前編
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なやり取りで事態解決を出来ないかと、その中の中の頭で何とか導き出そうとしていた。
だが、相手の放つ威圧的な態度からは、それが叶いそうもない様子であるのだった。
しかし、このような暴挙に出てしまった女生徒であったが、彼女自身も今『自分は何をやっているんだ?』という思いが渦巻いていたのであった。
それでも、彼女は自分を止める事が出来なかったのである。自分が大切に思う千影の側をいつも占拠しているこの稲田姫子という存在への『嫉妬心』は隠す事が出来なかったのだ。
だが、この場合は両者に幸いしたと取るべき出来事が起こるのであった。
「あなた、何をしているの!?」
「っ!?」
その声に女生徒はハッとなってしまった。そして、振り返ると、自分の思い人たる千影がいたのであった。
このような展開になっては、彼女が咄嗟に取る行動は一つとなるだろう。そう、女生徒はその足でそのままそこから逃げ出していったのであった。
そして、後に残った姫子は、千影にお礼を言うのであった。
「ありがろとう、助かったよ千影ちゃん。危うく私がショウガイザイになる所だったよ」
「カタコトで自分の背丈よりも高い言葉を使うのは止めなさい……ともあれ」
そう言って千影は安堵の表情を浮かべて姫子に微笑んだ。
「トイレから戻るのが遅かったから見に来たら……姫子が無事で良かったわ」
「うん、私は大丈夫だよ」
そう自分が無事な様子を伝える姫子であったが、当然同時に気になる事もあるのだった。
「でも……たしかあの子って、隣のクラスの子だよね」
姫子はそう首を傾げながら千影に問い掛けると、どうやら彼女には心当たりがあるようであった。
「ええ、あの人の名前は『八雲泉美』って言うわ」
そうその女生徒の名前を言った後、千影は神妙な声色で姫子に言う。
「その事で姫子、あなたに言っておきたい事があるわ」
◇ ◇ ◇
「はあっ……はあっ」
そして、千影の到来によりあの場から逃げ出して今に至る当の女生徒──泉美。
水飲み場にまでやってきた彼女は、そこで彼女は顔を洗い、呼吸を整えていたのであった。
──一体自分は何をやってしまったのだろうか。そう基本的に真面目な性格の彼女をその事実が苛んでいるのであった。
こういういじめ紛いの事をやって一体何になるというのだろうか。その思いから彼女は心を持ち直して、こう決意する。
──そうだ、今度稲田さんにあったら、今回の事は謝ろう。
それから……、千影さんの事は。
そう思うまでに至った時であった。彼女の背後に何者かの気配が突如として出現したのであった。
「!?」
その突然の事に泉美は息を飲みつつも、その気配の主へと落ち着いて目を向ける。
「あなた……一体?」
そして、彼女の目の前にいたのは、彼女
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