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短期攻略
第一章
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                短期攻略
 広島東洋カープは球団創設五十周年とかほざき優勝だの愚かなことこの上ない妄想を抱いている巨人を成敗し中日ドラゴンズも降しリーグ優勝を果たした、そしてパリーグの覇者阪急ブレーブスと雌雄を決することになったが。
 監督である古場竹織はコーチ陣を集めてこんなことを話していた。
「阪急には昔してやられたからな」
「ですね、昭和五十年は」
「あの時のシリーズは」
「半球に日本一を許しました」
「折角の初優勝だったというのに」
「だから今回はだ」
 古葉は広島市民球場の一室でコーチ達に話した。
「絶対に勝つ、そしてだ」
「日本一ですね」
「それになりますね」
「今回は」
「そうなる、相手の監督は同じウエさんだ」
 上田利治、温厚な知将として知られる彼だというのだ。
「あの人は頭がいい」
「侮れないですね」
「いい采配してますね、相変わらず」
「敵として不足はないと言えますが」
「強いですね」
「だからこの人の采配ミスとかは期待しないで」 
 それでというのだ。
「こっちはこっちでな」
「ミスはしないことですね」
「慎重にいきますか」
「ここは」
「それが第一ですな」
「そうだ、それで選手だが」
 古葉は今度はこちらの話をした。
「向こうの主力は山田、福本、蓑田、弓岡、松永だな」
「九年前と同じ顔触れもいますね」
「山田とか福本とか」
「この二人も流石にベテランですが」
「まだまだ侮れないですね」
「そうだ、そして特にな」
 ここで古葉の顔色が変わった、これ以上にないまでに真剣なものになった。それでこう言ったのだった。
「ブーマーだ」
「あの助っ人ですね」
「あれは凄いですね」
「三冠王ですからね」
「あれ以上はないまでの戦力ですね」
「今の阪急は」
「今年何故阪急が優勝したか」
 古葉はこのことから話した。
「言うまでもないな」
「はい、そのブーマーです」
「ブーマーがいたからです」
「あれだけ打ちましたからね」
「それも当然ですね」
「パワーがあるだけじゃない」 
 ブーマー、この助っ人はというのだ。
「ヒットを打つのも上手い」
「だから首位打者でもありますね」
「長打だけじゃない」
「それで、ですね」
「そして勝負強い」
 この要素まで備えているというのだ。
「打点王も当然だ」
「見事な三冠王ですね」
「まことに」
「そのブーマーをどうにかしないとな」
 それこそというのだ。
「うちの日本一はないぞ」
「その通りですね」
「ブーマーをどうにかしないと」
「うちの日本一はないです」
「三冠王ということを抜いても」
「阪急の主砲です」
「今のあのチームの柱です」
 コーチ達も口々に古葉に話し
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