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Fate/WizarDragonknight
青い変なお客様
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流派? 私は新陰流なんだけど、最近は鹿島新當流にも興味持ってて。友達も北辰一刀流を習得していて、居合切りも本当に強くてさ。私も旅の途中で時々鍛錬しているんだけど、なかなか習得できないんだよね。旅に出る前に聞いておけばよかった。あ、でもハルトさんのって、どちらかというとタイシャ流に似てるよね? 剣と体術を交えてのだと……」
「ストップストップ!」

 この一週間の生活で可奈美のことがよく分かった。
 彼女は、剣術の話になると止まらない。明るい女の子なのに、そんなに剣が好きなのかといつもハルトは疑問を持っていた。

「俺のは独学。ファントムを倒していく内にいつの間にか習得していた。んで、あちこちにファントムが暴れているらしいから、学校をやめて旅に出て、大道芸やっているうちにああいう芝居かかったやり方しているわけ」
「あれ独学なの?」

 十秒前のこちらの頼みは彼女の脳の彼方へ飛んで行ったらしい。
 次は絶対に、どうやって編み出したのかとか聞かれる、と警戒した。その時。

 チリン、とドアが開く音がした。

「い、いらっしゃいませ!」

 可奈美から逃げるように、ハルトはやってきた客に接待する。
 入ってきたのは、二十代くらいの女性だった、ふんわりとした雰囲気の彼女は、ハルトと可奈美を見て笑んだ。

「おやおや? 新しい店員さんですね」

 ふんわりとした女性は、常に笑みを絶やさず、ハルトに言われるがままに窓際の席に着く。
「私、青山(あおやま)ブルーマウンテンと申します」
「不思議な名前だな……あ、俺、松菜ハルトです」
「よろしくお願いいたしますね。それでは、キリマンジャロをお願いします」
「かしこまりました」

 ハルトは腕を回してお辞儀をする。
 そのままカウンターへ赴き、焙煎を始める。
 一方可奈美は、その客をじっと見つめていた。
 
「可奈美ちゃん。手伝ってよ」
「うーん。ところで、あのお客さん……」

 彼女の視線は、好気的なものではなかった。
 客も、なぜか机の下へ背中を曲げ、じっと可奈美を凝視している。

「なんか、私を見ているんだけど……」
「一目惚れでもされたんじゃない?」
「私女の子なんだけど……?」
「よくあるんじゃない? 女の子が女の子に惚れるって」
「ないでしょ、あんまり」

 仕事中の私語をしている間にも、女性はじっと可奈美を見つめている。

「あの〜」

 女性がこちらに近づいてきた。彼女は胸に何やら手帳を抱えており、カウンター席に座るなり開いた。

「すみません。その……どうしてもあなたのことが気になってしまって」
「え? 気になるって……?」
「言葉通りですよ……私、貴女のことが気になって気になって仕方ないんです」
「え?」
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