第1部
アッサラーム〜イシス
シーラの同居人
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だ? 親子ってわけではないんだろ?」
私と同じ疑問を、ユウリが代弁してくれた。確かに親子というには距離感がある気がするし、だからといって友達っていう雰囲気でもない。
するとシーラの顔が、僅かに強張った。
そして、苦笑を滲ませる表情を私たちに見せた。
「親子だったらいいけどね。アルヴィスとは元同居人で、元仕事仲間。それだけだよ♪」
その笑顔はまるで取り繕ったようだった。
普段明るい彼女が無理して笑っているのは、きっと私たちにも言えない事情があるからなのか。そう思うと下手に聞かないほうがいいのかもしれない。
「……そうか」
ユウリも察したのか、これ以上はなにも聞かなかった。
「それより、仕事終わってからどうする? 宿に戻るまで時間あるし、なにもすることないよね」
私は話題を変えようと、これからの予定について皆の意見を聞くことにした。すると、目を輝かせたナギが真っ先に手を挙げる。
「オレ、このままここに残ってビビアンちゃんの公演観るから!」
いつの間にかビビアン『ちゃん』と呼んでいるのは、ここに見に来るビビアンさんの熱狂的なファンが彼女の名を呼ぶときの共通語になっているらしい。誰が決めたわけでもないが、暗黙の了解というものだそうで、それをナギがスタッフから聞かされた。他にも色々と教えてもらったようで、彼はすっかりビビアンさんのファンになったといっても過言ではない。
私もナギと一緒に劇場に行ってビビアンさんの踊りでも見ようかと一瞬思ったが、なんとなく女性が行くには少し勇気がいるような気がして、口に出す前にやめた。
「あー、うん。そういえばそういう約束だったもんね。えっと、じゃあ、シーラは?」
「あたしはこのあと昔なじみのところに行って、挨拶してくる♪」
「わかった、気をつけて行ってきてね。……ユウリは?」
様子をうかがいつつ、私は彼に尋ねる。
「……そうだな。この町は道具屋や武具屋が多くあるらしいから、店を回ってみるつもりだ」
「そっか。じゃあ、私も一緒についていってもいい?」
「は?」
訝しげな表情で私を見返すユウリ。
いや、そこで聞き返されるとちょっと困る。だって私もやることないから何していいかわかんないんだもん。
不審そうに見るので、私は慌てて言い繕う。
「べ、別に新しい装備が欲しいからとかじゃないよ? ただ一緒にお店回りたいだけなんだけど……。ダメかな?」
「……勝手にしろ」
しばらく考え込んでいたが、ユウリにしては珍しく素直に了承してくれた。
「あっ、そうだ! ミオちん! 夜になったらあたしと一緒にお風呂入りにいこうよ♪ 結局昨日入りそびれたし」
「え?! でも昨日は行っちゃだめって……」
「大丈夫大丈夫♪ さすがに昨日からずっといるってことはないっ
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