第1部
アッサラーム〜イシス
シーラの同居人
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じゃ開かないし、盗賊が持つ解錠の技術を使っても無理だと言われてるワ」
ふと気づいたユウリが、懐から盗賊の鍵を出した。
「この『盗賊の鍵』じゃダメなのか?」
「悪いけどそんな鍵じゃまず無理ね」
そう言われて、顔には出さないが小さく嘆息するユウリ。
「アタシたちは魔王を倒すための手がかりを得る手段として『魔法の鍵』を手にいれようとしたけど、結局あきらめたワ」
「どうして諦めたんだ?」
ユウリの問いに、アルヴィスさんは、ふう、と深くため息をつく。
「『魔法の鍵』を管理していた人とね、どうにも話が合わなくて結局譲ってもらえなかったの」
管理していた人……。昨日言っていたヴェスパーさんって人か。ドリスさんも変わり者って言ってたし、どんな人か怖くなってきた。
「『魔法の鍵』が魔王を倒す為に必要かどうかはわからないワ。なくてもあの人は魔王の城までたどり着いたって言われてるし。けど、そこで消息を絶ったってことは、魔王を倒すための手段が足りなかったのかもしれないわネ」
「……」
「……ごめんなさい。アナタにとっては英雄である前に一人の父親ですものネ。けどアタシは、アナタのお父さんはどこかで生きてるって信じてるの」
「いや、気を使わなくていい。俺は親父を父親として見たことは一度もないからな。それより、やっぱり『魔法の鍵』は手に入れるべきだな」
「……ホント、アナタってお父さんにそっくりネ」
アルヴィスさんは苦笑した。そして、胸板とバニースーツの間から、一枚の紙切れをユウリに手渡す。ためらいながらも、ユウリはそれを受け取った。
「これ、アタシのお店の名刺ヨ。もしお父さんについて知りたいことがあったら来て。昼間は別の仕事でアタシはいないから……そうね、日が沈むころに来て頂戴」
「……わかった」
静かにうなずくユウリ。それを聞いたアルヴィスさんは椅子から立ちあがり、清々しい顔で私たちを見下ろした。
「それじゃあ、元気なシーラにも会えたし、アタシはここで失礼するわ。じゃあね☆」
そういうと、再び私たちにウインクをしながら、アルヴィスさんは席を立ち去っていった。
「なんか、凄い人だったね」
ふう、と息をつき、私はつい本音を漏らす。
思わず口に出してしまった。けど、あれほどインパクトのある人物を見たのは生まれて初めてだったのだ。ナギも無言で頷いてシーラを見る。
「お前の同居人、とんでもない人だったんだな」
「うん♪ でもあたしもアルヴィスがユウリちゃんのお父さんの仲間だったなんて知らなかったよ☆ 昔超つよーい友達と旅してたってことしか言ってなかったもん」
随分ざっくりとした説明だったようだ。そもそもシーラとアルヴィスさんってどういう関係なんだろう?
「おいザルウサギ。あいつとお前の関係って一体何なん
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