第1部
アッサラーム〜イシス
シーラの同居人
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旅をしてたなんて、全く予想外のことだったからだ。
「てことはあんた、ただのバニーガールじゃないってことだよな?」
「ふふ、そうよ。よく気づいたわネ。アタシの前職は実は戦士だったのヨ」
ナギの言葉に、さも予想外だと言わんばかりに経歴を話すアルヴィスさん。けれどバニーガールより、鉄の鎧を着たほうが絶対に似合っている気がするのは私だけではないはずだ。
なぜ戦士がバニーガールにミラクルチェンジしてしまったのかは今はさておいて、私は別の疑問をアルヴィスさんに投げかけた。
「でも確か、オルテガさんって、単身魔王の城に乗り込んだって世間一般では言われてましたよね。アルヴィスさんは一緒に行かなかったんですか?」
特にユウリともオルテガさんのことは話をしたことはないけれど、私が実家で聞いた噂ではそうだった。それに、今ここにアルヴィスさんがいるということは、途中で何か理由があって別々になってしまったのだろう。いくら英雄といわれても人間である以上、何がきっかけで人生の岐路に立つかわからない。同じ轍を踏む身としては、なぜそんな状態になってしまったのか知りたいところである。
するとアルヴィスさんは昔を思い出したのか、せつなそうに眼を細めた。
「アタシはずっと一緒に旅してたかったんだけどね……。とある場所で彼に誘われてから、ずっとあの人と一緒にいるうちに、だんだん彼の魅力に惹かれていったの。それで、このあふれ出る気持ちが止まらなくなって、魔王城に乗り込む前に、思い切って彼に告白したのよ。そしたら、俺には妻も子供もいるって言われちゃってサ。さすがにそのあと一緒にはいられないし、迷惑になると思ってネ。それで潔く身を引いたのヨ」
「……そ、そうなんですか」
予想の斜め上を行く答えに、思考が混乱する私。
二人はどういう関係だったんだ。聞いちゃいけない話に触れた気がして、私は曖昧にうなずくしかなかった。
話を切り替えようと、小さく咳払いをするユウリ。アルヴィスさんの視線が彼に向いた。
「なら聞きたいことがある。俺たちは今、『魔法の鍵』を探してるんだが、俺の親父もそれを探している様子だった。結局親父はそれを手にいれたのか? なぜ手にする必要があった?」
『魔法の鍵』、という単語に、心当たりがあるかのような素振りを見せるアルヴィスさん。
「ああ、その話ネ。そもそも『魔法の鍵』ってわかる? 要は魔法使いが特殊な術で施錠した扉……一般的には魔法の扉って言われてるけど、それすらも開けることができる鍵なの」
「魔法使いが施錠した扉?」
「ここアッサラームやイシスは、太古の建造物が多いのよネ。特にイシス地方にあるピラミッドには、古代のお宝が眠ってるみたいなんだけど、当時の偉大な魔法使いがそのお宝を守るために、扉に特殊な術をかけたの。その扉はちょっとやそっと
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