ご注文は衣食住ですか?
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チノと呼んでいた___がまじまじと可奈美を見つめる。
「えっと……お姉さん、私と同じくらいの年ですよね? どうして……」
「チノちゃんがお姉ちゃんって呼んだ! 私というものがありながら!」
「ココアさん、黙ってください。それで、どうして住むところがないんですか? 中学生くらいですよね」
「うん。ちょっと、大切な人に会いたくて、手がかりを探して旅をしているんだ」
可奈美の顔に陰が落ちる。
「?」
「まあ、その手がかり……が、見滝原にあるから、それを探しているんだけど」
「手がかりですか」
チノは頷き、次にハルトを見つめる。
ハルトは肩をすぼめ、
「俺は大道芸の旅の途中、ちょっと訳あって見滝原にいなくちゃいけなくなっただけ。別に野宿でもいいけど……」
「ダメですよ」
まどかが、目を吊り上げる。
「そんなに汚れていちゃ、お客さんも来ませんよ。ねえ、チノちゃん。どうかな?」
「どうでしょう? さすがにタダは無理でしょうから……リゼさんの抜けた穴に入れられるでしょうか。聞いてみます」
チノはココアに「少しの間お願いします」と言い残し、奥のドアから出ていった。
ハルトはそれを見送りながら、
「なんか……ごめんね。話を大きくして」
「ううん。全然平気だよ。それに、モフリ仲間ができるし!」
「だってさ。可奈美ちゃん」
「モフリ仲間って、私?」
苦笑いの可奈美に、ココアはうなずく。可奈美は「あはは……」と笑いながら、
「ねえ。あの子……チノちゃんって言ったっけ?」
「私の可愛い妹だよ!」
「ココアちゃん。違うでしょ」
「あと、まどかちゃんも私の妹だよ!」
「妹多いな」
「違うよ! ココアちゃんは、年下は誰でも妹にしちゃうだけだからね?」
「節操ないな」
ハルトはツッコミながら、もう一度コーヒーを飲む。苦い味が口の中に広がり、ああコーヒーってこんな味だったなと思い返していると、ココアが自己紹介を始めていた。
「改めまして、私、保登心愛! お姉ちゃんって呼んでね! 妹のチノちゃん……香風智乃ちゃんもよろしくね!」
「衛藤可奈美って言います。よろしくね! お姉ちゃん!」
一切の躊躇いもなくのお姉ちゃん発言に、ココアは目を輝かせる。おお、これがシイタケ目ってやつかと思いながら、ハルトはコホンと咳払いをする。
「えっと、松菜ハルト。流れの大道芸人です。よろしく……お姉さま」
「お姉さま……」
少し絡め手の呼び方をしてみた。どうやらココアには新鮮な響きらしく、しばらく「お姉さま」と連呼し、
「うん。いい! すごくいい! ハルトくん、お姉さまって呼んで! でもほんとはやっぱりお姉ちゃんっ
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