ご注文は衣食住ですか?
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らの返事は、そんな明るい声だった。明るい顔をしたショートヘアの少女が、そそくさと駆け寄ってきた。
高校生のバイトだろうか。栗色の髪と、ピンクのエプロン。笑顔が何よりも似合いそうな少女は、接客業らしく、全く物怖じせずに、ハルトたちに近づいた。
そのまま座席へご案内……はせずに、一直線にまどかへ抱きつく。
「まどかちゃーん!」
「うわわっ」
「えへへ……もふもふ」
とろけた顔で頬ずりまで始める少女。まどかは驚きながら腕を振って抵抗する。
だが、少女がまどかを手放す様子はなく、可奈美が「あ、あの……」と声をかけても応じない。
「ココアさん!」
と、か細い声が、彼女を引き剥がす。
声の主は、最初の少女よりも幼い少女……女の子だった。可奈美の胸元くらいの背丈で、起伏の少ない表情で困惑を示している。青いロングヘアーの上には、白い毛球が乗り、一連の流れよりもそちらが気になる。
「お客様にいきなり抱きつかないでください。ほら、まどかさん困ってるじゃないですか」
「あ、ううん。私は別にいいから」
まどかが手を振る。それをしめたと、ココアと呼ばれた少女はさらに頬ずりのペースを上げる。
「まどかちゃ〜ん」
「ひゃっ! くすぐったい……」
「ココアさん! お客様をご案内出来ません!」
まどかに抱き着く少女と、それを止めようとする女の子。その光景を眺めながら、ハルトは呟いた。
「俺たち、もしかしていらない人?」
「あははは……」
可奈美の苦笑だけが、ハルトを無視することない返事だった。
「すみません、お見苦しいところをお店しました」
毛玉を乗せた少女からコーヒーを受け取りながら、ハルトと可奈美は謝罪を受けた。
「いや、別にいいけど……まどかちゃん、本当にいいの?」
「はい。二人には、この前ファントムから守っていただきましたし。今回案内したのは私ですから」
「そう? ……もう、遠慮とか考えない方がいい気がしてきた」
「あはは……」
苦笑する向かい席のまどか。
一方、同じくコーヒーを受け取った隣の可奈美は、コーヒーを届けてくれた青い髪の少女の頭上をじっと見上げている。正確には、その頭上の毛玉を凝視していた。
少女もそれに気付き、盆を胸元に当てて、顔を隠す。
「あの……何ですか?」
「ああっ、ごめん……」
可奈美は気にしないように、前を向く。だが、どうしても気になり、再び毛玉へ視線を移す。
「ねえ、その頭の上の……何?」
「ウサギです」
「「ウサギ?」」
思わず可奈美と同時に立ち上がる。
ウサギ。哺乳類、ウサギ目ウサギ科ノウサギ属ニホンノウサギ。それが一般的な兎だが、今少女の頭上のウサギはそれではな
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