ご注文は衣食住ですか?
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松菜ハルト 十八歳。
職業 大道芸人。
年収 一万円以下。ただし、バイトなどで不定期な収入あり。
特技 変身。ウィザードとして、人々を守っている。
借金負債 中学生の女の子に日に日に増えていく。
「はあ……」
「どうしたんですか? ハルトさん」
「いや。その……俺って、まどかちゃんに情けない姿しか見せていない気がしてなあ」
「え?」
可奈美と河原で戦って、互いに満足してからひと段落した後。
ハルトと可奈美は、互いに満身創痍となり、まどかの母の勧めの場所に行く前に、体を整えなければならなくなった。
洗濯、銭湯。ハルトも可奈美も持ち合わせなどなく、結果中学二年生のまどかに借りを作ることとなった。
「俺、君に作った借金が膨大になってきたなあって……なんか、自分が情けなくなってきた」
「ハルトさんは、その代わりファントムから皆を守っているじゃないですか。誇っていいと思いますよ」
「ありがとう……でも、いつか返すよ」
「大丈夫ですよ。これから行くところ、住み込みでもいいから従業員を探しているところですから」
「ありがとう……」
「ねえ、まどかちゃん」
まどかの隣の可奈美が話しかけた。
「これから行くところって、どんなところなの?」
そう言ったところで、彼女の足が道路の境目に入った。
アスファルト舗装されていたところから、石畳の道路へ。
コンクリートの街から、木造の町へ。
「この木組みの町の地区だよ。ここ、私のクラスメイトがいるところがあって、そこで人を募集しているの」
「へえ……あれ? クラスメイトの人、バイトしてんの? 中学生なのに?」
「お店の店主の子ですから、お手伝いです。もうそろそろ……あ、着いた」
まどかが指差したのは、石畳と木組みの店だった。先ほどから、周辺にも多くの喫茶店やら飲食店が並んでいる場所こそが、まどかの目的地だった。
「えっと……」
ハルトは、目を細めて玄関上にある看板を見上げる。
「なにあれ……? ラ……?」
「ラビットハウスって書いてあるね」
一足早く速読した可奈美。全く目を細めていない彼女は、まどかに「ラビットハウスってどういう意味だっけ?」と尋ねている。
まどかは、少し考えて、「確か……ウサギ小屋だね」と答えた。
「「ウサギ小屋?」」
「うん。まあ、入れば分かるよ」
そう言って、まどかはお店の扉を引いた。チリン、と耳に優しい音が鼓膜を揺らす。
「こんにちは」
まどかの挨拶に、まどかとハルトも続く。
甘いカフェオレの香り。落ち着いた木製の机とカウンター。
喫茶店などと言う贅沢な場所訪れたのは、いつぶりだろうか。
「いらっしゃいませー」
店側か
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