第一章
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油すまし
石上花梨は料理が好きだ、通っている八条学園高等部商業科の家庭かの授業でも部活の料理部でも料理を作っている。しかもかなり上手だ。
だが花梨の料理のやり方を見て周りはいつも彼女に言っていた。
「油使い過ぎ?」
「オリーブオイルもサラダオイルも」
「ごま油もだし」
「油使い過ぎでしょ」
「油は使わないと」
それならとだ、花梨は周りに話した。
「やっぱりね」
「よくないのね」
「味がよくなわないのね」
「そうなのね」
「そう、某俳優さんだってそうでしょ」
レギュラーの料理番組を持っているその俳優の料理の仕方も話した。
「そうでしょ」
「ああ、あの番組でね」
「しょっちゅうオリーブオイル使ってたわね」
「そうね」
「そう、だからね」
明るい顔で言う、見ればブロンドに染めたあちこち撥ねた髪の毛を腰まで伸ばしていて左の上の方をテールにしている、派手なファッションだが爪は短く切っていてマニキュアもしていない。メイクは薄く優しい目で眉は細く長い。小顔である。背は一五五程で胸はかなり目立っている。制服の着こなしも派手だが清潔である。
「私としてはね」
「油はどんどん使うの」
「もうこれでもかっていう位に」
「そうするの」
「そう、これからもね」
まさにというのだ。
「そうしていくわ、その方が美味しいからねお料理も」
「そう言うけれどね」
「あんたの油の使い方凄いから」
「もうドッパドパって感じだから」
「それで言うのよ」
「そもそもね」
友人の一人がここでこう言った。
「あんたのお家油問屋よね」
「あっ、知ってるの」
「知ってるわよ、確か淀川区にある大店よね」
「大店だったの、うち」
実は花梨はこのことには自覚がなかった、それで今もこう言う。
「初耳だわ」
「初耳ってね」
「いや、お金あまりないから」
「ないの?」
「お父さんとお母さんいつもやりくりに苦労してるわよ」
「そうなの」
「そうよ、昔ながらのお店も何かと苦しいから」
最近の経営はというのだ。
「だからね」
「お金はないの」
「ええ、八条グループの系列に入ってるから安定したお仕事はあるけれど」
「大店でも楽じゃないのね」
「お姉ちゃんがお婿さん迎えて後継ぎになってくれてるけれど」
それでもというのだ。
「お義兄さんも自分の代で畳む様なことにならない様にって言ってるし」
「シビアね」
「そう言いながらお店のことと子育てに頑張ってくれてるの。もう男の子三人いるし」
「三人もって」
「お姉ちゃんが大学卒業と同時に結婚して三人で三人ね、この前その三人目の子が産まれたの」
「お姉さんも頑張ってるわね」
「うん、それで私叔母ちゃんになってるから」
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