VS 可奈美
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「可奈美ちゃん……君は……?」
ハルトの姿に戻り、ゆっくり近づく。
「あの力は……一体……?」
彼女の姿をじっと見つめるハルト。一方可奈美は、静かにこちらを睨んでいた。
千鳥を納刀し、可奈美はゆっくりと歩いてくる。
「ハルトさん。貴方が、噂の魔法使いだったんだね……」
「……うん。そうなるね」
彼女の眼付きから、ミーハーな感情で自分を探していたわけではないことは察しが付く。ハルトは、ソードガンを握ったまま、可奈美を見返していた。
「私、噂の魔法使いに確認したいことがあるんだけど」
「確認……したいこと?」
可奈美は頷いて、ゆっくりと左手の甲を見せる。
長袖をめくり、彼女の手首が露になった。
それを見たハルトは、目を大きく見開く。
「それは……!」
「やっぱり、貴方も知っているんだ……」
可奈美の眉が吊り上がる。
「キュウべえから、大体のルールは聞きました。……魔力を持った人が見滝原で行われる、聖杯戦争」
「……それで、君は聖杯戦争を……サーヴァントは……?」
「まだ来ていないよ。けど……」
可奈美は自らの令呪をさすった。左右に沿って伸びる線は、対照的で美しくも見えた。
「現れても、聖杯戦争には降りてもらおうと考えています。私一人で全部背負うから」
「それって、君の願いのため?」
「……貴方に頼みがあって、探していました」
さっきまで明るい声だった可奈美は、冷たい眼でハルトを睨む。
「この聖杯戦争……降りてください」
可奈美の鞘が、ハルトの左手を示す。
令呪が宿す、その左手を。
「教会に駆けこむなり、斬り落とすなり。降りて下さい」
「……嫌だと言ったら?」
「……」
オロオロしているまどかを脇に、ハルトと可奈美はにらみ合う。
しばらくそのぶつかり合いが続き、可奈美は続ける。
「聖杯戦争を進めば進むほど、人間の道を踏み外すルールになっていく。分かっている?」
「一応。君と同じくらいには分かっているつもりだよ」
「そう。……」
可奈美は、改めて抜刀した。千鳥と呼んだその刀は、夕日を反射して、ハルトは目を細める。
可奈美は首を振り、
「この数時間だけ、一緒に過ごして、私もハルトさんがいい人だってのは分かってるよ。でも、聖杯戦争って、どんな願いでも叶うらしいから。聖人君主でも、そうならないって限らないから」
「……それは、君も当てはまるよね? 君も殺人犯にならないとは言い切れない」
「そうだよ。でも、ないから。だって私、強いし」
「それは俺も同じだよ」
「だったらさ」
可奈美は、千鳥を構えた。
「立ち合い、しよう」
それは、可奈美がいつも言っているようなまで
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ