"save me save you"
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に、その場を去る。
「何? まだ俺は倒れて___
ない。そう言おうとしたのだろう。だが、彼は気付いていなかった。
自身の体が、真二つになっているのを。
ファントムの視界が、きっと大きく左右に開いたのだろう。
ウィザードがそう思った瞬間、あのファントムの姿は爆炎と化した。
「弟よ?」
最初のファントムは右手を伸ばして叫んだ。
だが、可奈美は意にも介さず、残り一体のファントムへ躍り出る。
「このっ!」
どこから取り出したのか、ファントムもまた剣で応戦する。可奈美の千鳥と火花を散らすそれは、可奈美の綺麗な日本刀とは異なり、黒く禍々しいデザインだった。
「……何がおかしい?」
それが、ファントムの口から出てきた言葉だった。
そして、それに対する可奈美の言葉に、ウィザードは耳を疑った。
「おかしいんじゃないよ。楽しいんだよ!」
「楽しい……?」
「だってそうでしょ? 見たことのない剣術、どの流派にも当てはまらない戦い方なんて、私も初めてだもん!」
それがどんな流派の、何という技なのかは分からない。だが、彼女の動きには一切の無駄がなく、まるで芸術品のような美しさがあった。
その中で、少女はずっと笑っていた。
「すごい、タイシャ流みたいに体術を交えての剣術だけど、私が知ってるタイシャ流とは全然違う……! あっ! 今のって、すごい力! その振り、神道無念流だよね! なら、これは……すごい! 今の返し、鞍馬流だよね! 私、その攻撃受けたことあるよ! うわ! すごい! 今の、間宮一刀流? すごい……」
「一々うるせえ!」
激昂したファントムが、攻撃の手を強める。しかし、可奈美の剣技は美しく、それを全て受け流していく。それどころか、可奈美の新陰流なる剣術が、少しずつ反撃の立ちを浴びせていく。
徐々に、ファントムが押され始めていく。それは、ファントムが恐れ、可奈美が楽しんでいるという証だった。
「だが、それでも貴様は所詮人間に過ぎない!」
ファントムの語気が増す。それを証明するように、だんだん可奈美も押されていく。
「人間ごときが、ファントムに勝てるはずがない! 弟を倒したのも、所詮はただのまぐれだ! 諦めて絶望してファントムを生み出せ!」
「諦めない! それに、それに、たとえ勝てなくても、悔しくても絶望なんてしない! それはきっと忘れちゃいけないことなんだよ! それは、これからの糧になるから!」
やがて、ファントムの一閃を受け止めた千鳥が、邪悪な刃を絡めとる。そのまま上空へと放り投げると、ファントムの剣は遥か上空へ飛んで行った。
「何?」
「行くよ!」
武器を失ったファントムの懐で、可奈美は身構える。
「
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