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レーヴァティン
第百五十五話 アテネとの戦いその十

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「徹底的にな」
「城壁を突破してもか」
「それでもだ」
「こりゃ本当にスパルタ更地にするしかないか?」
 久志はこうも思って言った。
「もうこれは」
「それも手だな」
 正もそのやり方を否定しなかった。
「敵が敵なだけにな」
「反対しないんだな」
「普通は反対する」
 正ははっきりと答えた。
「これまでの相手ならな」
「街を更地にするなんてことはか」
「そこまでして何になる」
「意味がないよな」
「幾ら的でも降せばな」
 それでというのだ。
「俺達の領地になるのだ」
「それじゃあな」
「そこまですることはだ」
 とてもというのだ、
「意味がない、街にある産業もなくなるしな」
「そうなるからな」
「俺もそうしろとは言わない」
「そうだよな」
「しかしだ、今回は違う」
「相手は桁外れに強くてな」
「最後の最後まで戦う相手だ」
「だからか」
「もう街もだ」
 スパルタのそこもというのだ。
「仕方なくとはいえ」
「更地にしてでもか」
「戦うことだ、幸い大砲や術もあるからな」
「それは楽だな」
「ロードス島の様に徹底的に攻めることもだ」
「やるしかないか」
「そうだ、ただあの時は敵は騎士団だけだった」
 ロードス島の騎士団、敵は彼等だけだったことも話した。正は実際にその時の戦のことを思い出しつつ久志に話した。
「しかしだ」
「今回はスパルタ市民全員か」
「老若男女問わずな」
「奴隷以外はか」
「流石に奴隷には戦わせないだろう」
「そうした国だからな」
「あの国は市民が全ての武力を持っている」
 即ち戦う力をというのだ。
「奴隷は叛乱を起こさせない様にだ」
「武力は持たせてないな」
「だからだ」
「戦わせもしないか」
「かなり酷い扱いをしているが」
 それでもというのだ。
「武器は持たせず訓練もさせていない」
「あくまで労働専門か」
「だからだ」
「奴隷は戦えないか」
「そうだ、あの国で戦うのはな」
「市民だけなんだな」
「実際にあの国で奴隷が戦場に立ったことはない」
 その証拠にとだ、正は久志に話した。
「一度もな」
「そうか、じゃあ奴隷のことはか」
「戦力としては考えなくていい」
「そうなんだな」
「しかしだ、その市民がだ」
 戦う彼等がというのだ。
「問題だ、いざとなれば老若男女全てがだ」
「武器を持って戦いに来るんだな」
「連中はな、だから殲滅戦になることもな」
「覚悟することか」
「何なら実際にだ」
 正は久志の腰にあるレーヴァティン、ありとあらゆるものを燃やし尽くすその剣を見ながらそのうえで言った。
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