第一部
第四章 いつだって、道はある。
いのとサクラ
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。くノ一と男の忍びの修行方法とかもいろいろ違うと思うし」
「……そうね。望みはなくても頼んで見ましょ。案外うまくいったりして」
「うまくいかなかったら、二人で一緒に模索してみましょう。強くなって、仲間を守れるようになって、そしていつかこの答えを探す」
「ええ、約束」
小指と小指を絡めあわせ、笑いあう。
童話の中の英雄は、常にハンサムで優しく情熱的であり、
童話の中のお姫様は、常に絶世の美女で優しく、
童話の中の裏切り者は、常にわかりやすく目をきょときょとさせ、
童話の中の悪者は、きっと醜く、そして絶対悪の象徴で、
童話の中で最後に勝つのは必ず正義だ。
だけどこの世界は童話ほど単純ではない。童話よりもずっとずっと、複雑だ。
冷酷で冷静な忍びが沢山の敵を殺せば英雄だし、
少女がお姫様でいることを夢見るのは甘えととられ、
裏切り者は常に巧妙に本心を隠して演技をし、
誰かにとっての悪者は誰かにとっての英雄で、
この世界には正義も悪も存在せず、全てが個々の里の基準に決まる――
いのとサクラは誓い合う。もう夢見て恋するだけの少女にはならないと。クナイを握り戦線で戦いながらも、従順に里に従うだけの道具ではなく、忍びの在り方を探っていく意思を持った人間として存在し、そして相手もこちらも任務であることを常に忘れないことを、犯罪者も英雄も全てこちらの里の基準による判断であることを。もっと強くなることを。
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