第一部
第四章 いつだって、道はある。
いのとサクラ
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程度になると里の英雄となる……里にとって不利益になる盗み、殺人、嘘、つまり里内部の人間が里にとって大切なものを盗み、同じ里の人間を殺し、里の上層部について嘘をつくこと、及び抜け忍……里にとっての犯罪者って、そういうものなんじゃないかしら。まあつまり、抜け忍は里を抜けて情報流出の可能性を高めた上で里にとって不利益になるような盗み、殺人などを繰り返すだろうってことでしょうし」
「ああ、なるほど」
いのが目を細めた。
「つまり善悪の基準は里にとっての利益不利益であるってことね」
「うん、そう……でもその基準が適用するのは木ノ葉の里のみで、他里からしたらそれは全く真逆になるかもしれないわけ」
ねぇ聞いた、といのが唐突に声を発した。
「風影、実はずっと前から大蛇丸っていう人に殺されててね、風影と思ってた人はずっと大蛇丸で、風影に扮した大蛇丸が木ノ葉崩しを命じてたって話なんだけど、どうやら木ノ葉と砂、また和解したっぽいのよ」
「え? ううん、それは聞かなかったけど……?」
そう、といのは親指を下唇に押し当てた。恐らく彼女が中忍であるからこそ得られた情報なのかもしれない。こんなに大事な情報なのだから後に公開はされるだろうが、いのはちょっと先にそれを知ったということなのだろう。
「木ノ葉側からして見ると、砂も音も憎くてたまんないし、イヤな奴らだけど、でも彼らも望んでやってるわけじゃないのよね。上層部の命令に逆らえなくてしぶしぶやってた、みたいな感じなんじゃないかなって思ってる……まあ推測の域を出ない話ではあるのだけれど。実はノリノリな奴もいたかもしれないけれど、失敗したら絶対いい処遇はないわよね。大多数の人は絶対戦争なんか嫌いだと思うし、多分皆望んでやってるわけじゃないんじゃないかなって思ってる」
「……そうなる、わね」
公園のベンチに腰を下した。いのの足が小石を蹴っ飛ばす。
「あの音忍達を殺すときね、私『かわいそう』って思ったの。相手も多分任務で駆り立てられているんだろうし……それにね」
テンテンとネジの助力によって捕獲できた四人の忍びを殺すことになった時、内一人が叫んだ――任務だったんだ、と。一瞬いのは躊躇った。そしていのは言った。途方に暮れた泣きそうな声は、まるで別人のものに聞こえた。
でも私も任務なの。
任務だから。心を鬼にしてクナイをその首筋に埋め込んだ瞬間に吹き出たあの生暖かい血を、あの日からいつも夢に見る。真っ赤になった両手はどんなに洗っても相変わらず鉄臭いにおいを発したままで、発狂しそうになりながらいのは白い石鹸を真っ赤に染め、両腕を洗い続ける、そんな夢。
「またそんなことすることになるのかなって思うと、凄く嫌だし……それに慣れてしまうかもしれないっていうのは、もっと嫌なの
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