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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第四章 いつだって、道はある。
いのとサクラ
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着ているというよりは着られているように見えた。

「サクラ」
「いの……あんたまさか」
「うん」

 弱弱しい笑顔。おめでとう、言いかけた声が喉元で萎む。

「わたし――中忍になっちゃった。でもあたりまえよね、私でこりんちゃんなんかと違って優秀だもの」

 強がりにしか聞こえない小さな声は尻すぼみになっていき、最後の所はほとんど聞き取れないくらいだった。ベストの緑に埋められてしまったいのは、とても小さく見えた。

「いの?」
「……中忍試験、中止になったでしょ」
「うん、そうね」
「だからね、同期からは中忍は出ないはずなんだけど。でもわたし、木ノ葉崩しの時、音忍をコロシタから。だからヒトゴロシの私はサツジンを褒められて中忍になります」

 えへ、と笑う彼女の目は虚ろだった。
 中忍試験は中止になった。だから当然のごとく中忍に昇進した者はいない。そこでいのは木ノ葉崩しの時木ノ葉を守るのに貢献した、という名目で中忍に昇進させられたのである。本来ならばその手助けをしたネジやテンテン、我愛羅と戦ったサスケとナルト等を始め、他の人々も中忍に昇格されてしかるべきなのだが、中忍となると給料も高くなり、そして現在の木ノ葉にそれだけ沢山の中忍へ賄えるような金もなく、だから中忍や上忍で結成された音忍グループを全滅させたいのだけが中忍になった、ということだ。
 おめでとうといってあげねばならないはずのことなのに、その一言は中々口をついて出てこないのはいのの目が虚ろだったのと、彼女の言葉の内容だ。
 ――ヒトゴロシの私はサツジンを褒められて中忍になります――

「ねぇサクラ。犯罪者の定義ってなんだろう」

 アカデミーの宿題に出てくる、ちょっと難易度の高い問題の解き方を聞いてくるのと同じような口調でいのは問いかけてくる。ねぇサクラ、これ出来る? ほんとぉ、サクラはやっぱ頭だけいいのよねーおでこが広いだけあるのかしらぁー、そうやってからかってくるのと同じような感覚で。

「……犯罪者の定義」

 一般人にとってそれはひどく単純なものだろう。人のものを盗んだら泥棒であり、人を殺したら殺人犯であり犯罪者、嘘をつくのはよくないこと。一般人にとって罪や悪いこと、犯罪者に対する定義はとても単純だ。
忍びの子も幼い頃は嘘をつくのはよくないよと教えられるけれども、中忍、上忍と昇進するにつれ、スパイだとか嘘をつかざるを得ない任務につき、他国にとって大切な巻物を盗み、そして沢山の人を殺すことになる。だから嘘をついちゃいけないだとか、人のものを盗むのは泥棒だとか、人を殺したら犯罪者だとか、そんなの言っても意味はない。忍びが今更何を言うんだ、そう思われるだけに過ぎない。

「里にとって利益のある盗み、殺人、嘘は……里への貢献であり、そして、ある
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