聖杯戦争
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貴方に魔法少女は似合わない。そんな奴の言葉に耳を貸す必要なんてない」
「でも……」
まだ何かを言おうとするまどかを、ハルトは制する。そのまま、じっとキュウべえを睨む。そして、ほむらを。
「今の話の通りなら、君は俺の敵。そういうことだよね」
「ええ」
「君は、自分の願いのためなら」
「私は手段を選ばないわ。どんな犠牲を払っても、願いを叶える」
「なら……俺の答えは一つ。俺の魔法が示す道は、ただ一つ!」
そう告げた瞬間、ハルトは指輪をベルトに翳す。「ドライバーオン」という音声とともに、銀のベルト、ウィザードライバーが出現する。
同時にほむらも席より飛び降りる。ポケットから紫の宝石を取り出し、翳す。
『シャバドゥビタッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』
待機音声の中、ハルトはルビーの指輪を付ける。
冷たい空気が流れる中、明るい待機音声が、熱さを宿していた。
「変身」
「フレイム」の音声とともに、熱い魔法陣が左側に出現する。
同時に、ほむらの宝石より紫の光が溢れる。光は影となり、瞬時にほむらの体を纏う。
二つの魔法は、それぞれの波動をぶつけ合いながら、その姿を変える。
ハルトを、ルビーの仮面をした魔法使いに。
ほむらを、白と紫の衣装の魔法少女に。
「俺はこの戦いを止める。願いなんてない。いつものファントム退治と同じだ。俺は人を守るために、魔法使いになったんだから」
「貴方が何のために戦おうが勝手よ。でも、私は私の願いのために戦う。この、キャスターとともに」
二人は、じっと睨み合っていた。それをキュウべえは満足そうに頷く。
『宜しい。願いではなく、止めるために戦うなら、そうすればいい。他のマスターは既に五人。その全員と、君は敵対することになるよ。それでもいいのかい?』
「……俺は人々の希望になるために、魔法使いになったんだ。希望や命を奪うなら、それがファントムでも人間でも、俺は食い止める!」
『好きにすればいい。それもまた、一つの願いだ』
祭壇へ駆け戻るキュウべえは、ウィザードとほむらを見下ろす。
「今この瞬間から、君たちを聖杯戦争のマスターとして認めよう。それぞれの願いのため、存分に戦って欲しい」
夕日が沈み、夜が訪れる。
ステンドグラスを貫く月光が、ウィザードを、ほむらを、まどかを、キュウべえを照らしていた。
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