聖杯戦争
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見つめた。
『松菜ハルト。そして暁美ほむら。ようこそ。聖杯戦争へ』
「聖杯戦争?」
その言葉に、ハルトの背筋が震えた。戦争という単語から、愉快な話を想像できない。
一方ほむらは、既に知っているといった顔で、倒れた椅子の背もたれに腰掛ける。
「なにそれ?」
『この見滝原で行われる、魔術師たちの狂宴さ』
そう告げたキュウべえは、語り始めた。
『松菜ハルト。君の右手のそれ。まさか傷だとか思ってないだろうね』
「思ってた」
『……』
この無表情生物が困惑なんて感情を浮かべるとは思わなかった。
数秒がこの小動物に落ち着きを与えたのか、キュウべえは続ける。
『それは令呪。君が聖杯をめぐる者、マスターである証さ』
「令呪?」
『そう。君と、これから召喚されるであろうサーヴァントとの繋がり。そして、サーヴァントを三回まで操る切り札』
「サーヴァント?」
『これから君が使役する、使い魔のことさ。聖杯戦争のルールは、この使い魔とともに生き残ること。他の参加者を全滅させればいい』
「そんなことを、どうして俺が?」
『聖杯戦争の舞台となる範囲内に、魔力を持った人間。この条件が揃うなら、誰だってマスターになる可能性があるのさ』
魔力を持った人間。そのフレーズで、真っ先にハルトが懸念したのは、ゲートの存在だった。
その考えを読んだように、キュウべえは付け加えた。
『安心したまえ。普段君が守っているゲートとやら。彼ら程度の魔力なら、マスターになることはないよ。もっとも』
キュウべえの視線が、ハルトより逸らされる。背後でずっと口を閉ざしている、まどかへ向けられた。
『見込がありそうな人間も、少なからずいるけどね』
バン、と乾いた音。
驚いたハルトは、それがほむらによる発砲、それもハルトではなくキュウべえを狙ったものであることに二度驚く。
「その視界にまどかを入れないで」
ハルトへ向けられたもの以上に、その声は冷たかった。ハルトの背筋を凍らせる以上に、その眼差しは、憎しみの炎で溢れていた。
かろうじてそれを避けたキュウべえは、呆れたようにほむらを見返す。
『やれやれ。代わりはいくらでもいるとはいえ、損害を与えようとするのはやめてくれないかい? 勿体ないじゃないか』
「黙りなさい」
ピシャリと黙らせるほむら。彼女はそのまましばらくキュウべえを睨んでいた後、銃口を下ろした。
『やれやれ。暁美ほむらは聞くまでもないけど。君はどうするんだい?』
キュウべえの一切変わらない目線がハルトを凝視している。
ハルトはぎゅっと手を握り、
「悪いけど、俺は、聖杯戦争なんてものに参加する
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