第五話「LARGE一夏」
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「今だっ!」
滝である。彼は朱鳥の悲鳴を聞いた後、すぐにもスナイパーライフルを取り出して応援に駆け付けにきてくれた。
「なに?」
そのすきを逃がさず、俺はカラスロイドへ飛び掛かった――が、
「甘い!」
義手の鋭い爪の刃が俺の腹部を斬りつけた。
「ぐあぁ!」
その痛みに俺はもだえ苦しんで、白い着物の腹部から赤い血が滲み出る。
「九豪君ッ!?」
とらわれている朱鳥はひっしにもがきだすが、それでも彼女を捉えているカラスロイドの力は医療用強化人間の彼女の力では振りほどくことはできない。
「九豪雷羽! ライダーに変身しない限り、この俺には勝てん。明日また返事を寄こす。それまでこの子娘は人質として預かっておくぞ」
そういって、カラスロイドは上空へと朱鳥を擦れて舞い上がってしまった。
「朱鳥ァ……!」
こっちへ駆け寄ってくる滝の姿を最後に、俺の意識は遠のいていった。
それから、どれくらい気絶していたかはわからない。ただ、次に目を覚ました時には見知らぬベッドの上に寝かされていた。
ベッド――というよりも手術台のような場所である。
「……?」
目を覚ました俺は起き上がって、肉付きのある上半身半裸の姿で辺りを見渡した。
「ここは――」
見知らぬ研究室のような場所だ。見慣れぬ大小の機会が周りに置かれ、そこで俺は点滴を受けているようだ。
ポタポタと垂れ続ける点滴の雫を見上げていると、この部屋のドアが開いて誰かが入ってきた。白衣を着た老人であった。
「おや、もう目が覚めたのかね?」
白衣の老人は、俺が目を覚ましたことにホッと胸をなでおろした。
「あなたが、俺を?」
「傷が深いうえに人工血液の出血も酷かった。しかし、急所がギリギリそれていたようだ。おそらく、あの怪人がわざと外したんじゃろう」
「えっと、おじいさんは誰ですか?」
強化人間を直すことができるくらいなら、名の知れた科学者だろう。
「敷島茂三、1号ライダーを開発した緑川博士の助手をつとめていた者でね」
緑川博士、噂では1号ライダーを生み出した都市伝説の人間らしい。
「そうだ――朱鳥は!? あの子はどうなったんですか!?」
台から立ち上がろうとする彼に「無理をしちゃいかん!」と立川博士は止めに入った。
「まだ、完全に傷がふさがっておらん。安静にしていなさい」
「しかし、このままだと……!」
あのとき、ライダーに変身さえしていれば彼女を救えたのではないか? 自身の臆病さを悔やみだした。
「安心しなさい。あのお嬢さんなら例の怪人に連れ去られたんだろう。いずれ戦うための人質にするようなら下手なことはせんはずじゃ」
「ちくしょうぅ……!」
ライダーにならずとも今の持てる力で十分な力を出せると思
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