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渦巻く滄海 紅き空 【下】
三十六 主従
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しぶりね、サクラ」
「元気そうでなによりだわ、いの」



バチバチと火花を散らすサクラといの。頭上でいきなり対峙し始めた女ふたりに、猫又が困惑している。
それを真下で見上げながら、シカマルがぼそっと呟いた。


「な〜んか、既視感あるな…」
「同意見だってばよ…」

シカマルに抱きとめられたまま、ナルもこくりと頷く。
若干顔を赤くしながら慌ててナルを下ろしたシカマルは、気を取り直すように咳払いすると、猫又の頭上の光景を見上げた。


いのが何故、この場にいるのかわからないが、おおよその予想はつく。
あれだけ今回の任務に行きたがっていたいのだ。

綱手になんとか許しを貰えたのか、それとも勝手に自分達の後を追い駆けてきたのか。
いずれにしても。



「中忍試験を思い出すよな…」
「ほんとだってばね…」

中忍試験予選にて対戦した春野サクラと山中いの。
折しも同じ状況に陥っている光景を、ナルとシカマルは聊か懐かしむように眺めていた。



















「薬じゃ、もうもたないな」


コポコポ…と硝子に閉じ込めた研究材料が水泡を吐き出す。
蛇や蛙の死骸が閉じ込められたガラス瓶。

陰気な室内で、ひとり、薬品を調合していたカブトは「と、なれば。そろそろか…」と踵を返した。


部屋を出て、蛇の鱗を思わせる廊下を歩く。
足音が響く中、サスケの部屋の前でカブトは足を止めた。


異様な雰囲気を察し、部屋の中を窺う。
室内は、数多の白蛇が入り乱れるように乱雑しており、巨大蛇の脱皮が落ちていた。




「カブト、か…」

問いというより、確認に近い言葉。
巨大な蛇の脱皮を何の感情もなく見下ろしていたサスケが視線を扉へ向ける。

大蛇丸との戦闘でもはや扉の原形を留めていない其処は、外からは丸見えとなっており、ただ、穴が空いているだけだった。



その穴からス…と姿を現したカブトへ、サスケは静かに近寄る。
蛇の鱗を思わせる廊下で響き渡る、サスケの足音。

それは、がらんどうの体内を自由に闊歩していた鷹が、蛇を内から食い破ったかのような音を奏でていた。



「今の、君は…──」

固唾を呑んで身体を強張らせるカブトのすぐ横を、サスケは通り過ぎる。
通り過ぎ様に、カブトは恐々と問うた。


「いったい、どっちなんです?」









転生の儀式。
自分の精神を他人の身体に入れ込み、乗っ取る事で生き永らえる転生忍術。

大蛇丸が『この世に存在する全ての術を知るための時間を得る』為に、歳月をかけて編み出した不老不死の術だ。


転生する際、器とな
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