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レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission2 アステュダメイア
(1) ドヴォール~バープリボーイ
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ンのポケットから一通の便箋を取り出した。

「これ、ユリウスから預かってきた。ルドガー宛て」
「兄さんも無事なのか!?」
「ピンシャンしてた。これ、急いで用意してもらったの」

 ルドガーは便箋をひったくり、乱暴に封を破いて中身を出して広げた。走り書きだがユリウスの筆跡だ。

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 ルドガーへ

 叶うならこの手紙を読む日が来ないでほしいと思う。だが、読んでいるということは、お前もついに関わってしまったんだろう。俺たち、クルスニク一族が背負っている使命と業に。

 時計が欲しいと今朝言われた時はギョッとした。まさか気づいたんじゃないかってな。そうでもないみたいだったから密かに安心したんだが、今日こんなことになって、運命ってやつはどこまでも無情だと思い知ったよ。

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(クルスニク一族の使命と業? 時計? 運命?)

 重々しいワードにすでにルドガーは混乱し始めていた。

「はいはい。立ち読みはお行儀悪いから座りましょー。仔猫ちゃんもこっちにいよーね」

 ユティはエルとリドウの間に割り込むと、エルを抱き上げてルドガーに押しつけた。勢い余ってルドガーはボックス席のソファーに尻餅を突いた。それでも手紙もエルも離さなかった自分を褒めてやりたい。

 そしてユティはというと、行儀悪くテーブルに腰かけて、立てた片膝に両手を載せた。ルドガーからは後ろ姿しか見えないが、きっとユティはリドウを見据えている。――リドウを牽制している。

 ルドガーはエルを見下ろす。アイコンタクトが通じたエルは、ルドガーの膝の上から下りて隣に座った。人心地ついたところでルドガーは再び便箋を読み始めた。

 ――そこにはルドガーが知らなかった、知らされなかった兄の姿が綴られていた。

 業を課せられた一族。肉体を蝕む呪いの殻。
 精霊の力の欠片である懐中時計。パラレルワールドの分史世界。
 2000年の長きに渡る審判。辿り着けない約束の地。
 原初の三霊との契約。人間と精霊のデスゲーム――

 読み終わったルドガーは、立ち上がって全力で便箋をテーブルに叩きつけた。横のエルが竦み上がり、足元のルルが飛び跳ねたが、気遣う余裕はなかった。
 四肢が怒りに震えている。指の震えに合わせて便箋にシワが寄っていく。

(何だよこれ何だ
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