Mission
Mission2 アステュダメイア
(1) ドヴォール~バープリボーイ
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ルドガーは現在、人生最大の窮地に立たされていた。
――いきさつは不明だがルドガーたちは列車から脱出できて、ケガも治療されたらしい。この治療した医者が曲者だった。
クランスピア社医療部門エージェント、リドウ。ユリウスと同じエージェントとは思えない、けばけばしい紅を纏った男。リドウは、ジュードが電話でバーを出るや、治療費として法外な額を請求してきた。その額1500万ガルド! 一生働いても返せない額だ。
「エル、お金なんてもってない…」
しおれたエルを、リドウは虫でも見るような目つきでソファーに叩きつけた。幼い悲鳴が上がる。
「稼ぐ気さえあれば金を作る手段なんかいくらでもあるんだよ。子供だろうが何だろうが」
もう我慢できなかった。ルドガーは、エルを掴むリドウの腕に手を伸ばし――
来店ベルとシャッター音が、同時にバーに響き渡った。
「『いたいけな幼女を恫喝するイケナイお医者様』。――生きてるー? ルドガー」
「ユティ…お前こそ…無事だったのか」
「これでも悪運強いほうなんで」
能面でVサインをされると、彼女の身を案じた自分が馬鹿らしくなってくるルドガーだった。
「で、これ、どういう状況?」
「分かってて割って入ったんじゃないのかよ!」
今までのシリアスな空気がぶち壊された。何コイツ、と胡乱にユティをねめつけるリドウが、エルから手を離したことだけが幸いだった。
「ううん。興味深い画があったからついカメラフリークのサガで。あ、ルドガーもエルも元気そうで安心シタヨ」
「遅いそしてちっとも安心したように聞こえない!」
ルドガーはテーブルに突っ伏した。横でエルがあやすように背中を撫でてくれるのが唯一の癒しだ。
「そこの派手な方どちら様?」
「ファッションと言ってくれないかな。そ、れ、と、俺も君が何者か知らないんだけど」
「失礼しました。ユースティア・レイシィです。ルドガーとエルとは……知り合い未満?」
ルドガーのHPがさらに削られた。そりゃないだろお前会ったのはたった数時間前でも一緒にテロリストと戦った仲だろ、という文句が頭を通り過ぎた。
「レイシィ、ね。ヴェルの身内?」
「誰ですかそれ」
「何だ違うの。――俺はリドウ。クランスピア社医療チームのトップエージェントだよ。で、彼らの命の恩人」
「そうなの?」
ユティに振られて、ルドガーは苦々しく肯く。二人合わせて1500万ガルドの治療費を請求されたことも言った。ソファーに座っていたエルもしゅんとする。
「1500万ねえ……」
ユティは言いながらバーの出入口をふり返る。誰か来るとでも言うのか。
「早く出たいから手短にすますね」
ユティはカーディガ
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