今日は私が女給さん(風鳴翼誕生祭2020)
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無理に詰め込み過ぎたのではないかと……」
ドラム洗濯機から飛び出してきた洗濯物に埋まった状態の翼を見て、緒川は苦笑いしながらそう言った。
「二回に分けて洗濯しましょう。仕分けは手伝いますから」
「うう……洗剤の量と押すボタンは間違えなかったのに……」
(練習してきたんだろうなぁ……)
翼の言葉に、彼女の健気さを感じながら、緒川は微笑んだ。
ff
そして昼食。
普段なら、包丁を刀を振り下ろすように使っては、野菜をあっちこっちに転がらせてしまったり、まな板をボロボロにしてしまう危なっかしい行動をやらかし、最終的にはダークマターを作り上げてしまうという悲惨極まりない料理下手を見せつけてくる彼女だが……この日は違った!
なんと、料理上手の弟に加え、見守り隊も全面協力。
せめて入門者並みにはなるよう、徹底的に料理スキルを扱かれた翼は、ちゃんと料理が作れる女には成長していたのだ!
「どうぞ、慎次さん。昼餉です」
「これは……全部翼さんがお一人で!?」
「まあ、翔や春谷さんのお手を煩わせてしまいましたが……なんとか形にはなりました」
(ああ、それで……)
弟、そして頼れる補佐が鍛え上げたのであれば、問題はないだろう。
さて、問題は味の方だが……。
手を合わせ、緒川は箸を手に取る。
まずは厚焼きの卵焼きから……。
「……どう、ですか?」
「んん、美味しいですよ」
「よかった……。まずは一つ、クリアですね」
「ええ、甘くてふわふわしてて、とてもよくできているかと」
「……え、甘い?」
この瞬間、翼の顔から血の気が引いたことに、緒川は気付かない。
「慎次さん、もしかしたら私──ッ!」
「……ッ!?」
……翼が止めようとした時には、時すでに遅し。
緒川はカボチャの煮物を口にしてしまっていた。
「すみません! 砂糖と塩が逆だったようですッ!」
「い、いえ……この程度、どうという事は……」
砂糖と塩、それが逆になってしまうだけで、その味付けは大きく変わる。
甘い煮物にするために、砂糖を大さじ二杯で入れた筈だったのだ。
それが塩大さじ二杯になってしまっていたのだから堪らない。
塩っ辛さが生半可なものではない事は、想像に難くないだろう。
「今すぐお水をお持ちしますので!」
慌ててコップに水を注ぎ、緒川の元へと持っていこうとする翼。
しかし、その途中で足が滑り……。
「あああああーッ!?」
「翼さんッ!」
……直後、コップが割れる音がした。
「翼さん、怪我はありませんか?」
「い、いえ……」
緒川が咄嗟に受け止めたことで、翼は転倒を免れていた。
緒川は思わず、ホッと息を吐
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