鹿目まどか
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る恐る頭を下げた。
「あ、あの、ありがとうございます……」
「ん。いいよ。気にしないで」
「き、貴様!」
牛の化け物が、怒声を上げる。
「貴様! もしや、噂のウィザードか?」
「へえ、知っているんだ。名前が売れて光栄だけど」
「ウィザード……さん?」
恩人の名前を、まどかは復唱する。ウィザードと呼ばれたマスクは手を振り、
「別にさん付けしなくてもいいよ。このファントムで憂さ晴らしするから」
「ふざけるな!」
怒りにかられて突進してくる牛の化け物。しかし、ウィザードは一切焦らず、腰のホルスターから指輪を外し、右手中指に取り付ける。
『ディフェンド プリーズ』
ウィザードの手前に出現した円陣。魔法陣ともいうべきそれから出現したのは、分厚い土の壁。
それは、牛の化け物の突撃を止めたばかりか、その身を壁の中に捕えた。
「なにっ? 何だ、これは?」
「ふふん」
ウィザードは鼻で笑いながら、蹴り飛ばす。
崩れる土壁とともに地面を転がる牛の化け物。
「ばかな……この俺が……!」
「頼むから今日はこれっきりにしてくれよ。俺だって今日の寝床探しで忙しいんだから」
そう言いながら、ウィザードは手にした銃の、手のオブジェ部分を開く。
『キャモナシューティング シェイクハンズ! キャモナシューティング シェイクハンズ!』
この場に似合わない、リズミカルな音声。それに構うことなくウィザードは、手を模したパーツに左手の指輪を読み込ませる。
『ランド シューティングストライク』
その音声とともに、その銃からは黄色の弾丸が発射された。
黄色の誘導弾は、そのまま牛の怪物に命中。
その恐ろしい肉体は、瞬時に爆発とともに消滅した。
「……助かった……の?」
ようやく安堵の息が漏れたとき、まどかの口からはその言葉しか出てこなかった。
「えっと……貴方は……?」
「俺?」
こちらを向いたウィザードの体が、黄色の魔法陣に包まれる。通過した途端、彼の姿は黒いローブの魔法使いではなく、
どこにでもいる平凡な少年に変わった。
まどかよりも頭一つ背が高い程度の背丈。長らく使っていそうな、傷だらけの革ジャン。
「ま、流れの大道芸人、松菜ハルトです。どうぞお見知りおきを」
ハルトと名乗った少年は、まさに舞台役者のように礼をする。それにつれて、まどかも思わずお辞儀を返した。
「あ、私、鹿目まどかって言います。助けていただいて、ありがとうございました」
「はい。まあ、無事でよかった」
ハルトがにっこりとほほ笑んだ。
この人は、悪い人じゃないのかな。そう考えたまどかは、恐る恐る尋ねた。
「あの、
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