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レーヴァティン
第百五十五話 アテネとの戦いその三

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「だからな」
「このことにな」
「左様ですか」
「そして、ですか」
「コレラを何とかする」
「それまでの間はですか」
「こっちは何もしないからな」
 戦はというのだ。
「だからな、どうだよ」
「停戦ですか」
「今は」
「ああ、返事はどうだ?」
 アテネの者達に問うた。
「それで」
「そう言われるのなら」
「ならです」
「宜しくお願いします」
「コレラが何とかなるなら」
「助かります」
「それじゃあな」 
 久志は彼等の返事に笑顔で頷いた、だがここで彼はこうも言った。
「ただな」
「ただ?」
「ただといいますと」
「医者と薬はこっちのやり方でやらせてもらうな」 
 久志はアテネの者達に言った。
「いいな」
「治療や薬の調合は」
「そちらはですか」
「ああ、全部な」
 こう言った。
「いいな」
「そうですか」
「我々のやり方ではなく」
「そちらのやり方で、ですか」
「行われますか」
「それは頼むな、そっちのやり方も聞くけれどな」
 それでもというのだ。
「こっちの医者や薬はな」
「はい、それでは」
「そちらの治療方法には口出ししません」
「あくまでそちらのやり方でやって下さい」
「それでお願いします」
「それじゃあな」
 久志はアテネの者達に話してだ、そのうえで。
 久志はアテネに医者と薬を送ってそうしてコレラへの対策にあたらせた。彼はその状況をテーベで聞いたが。
 源三は久志に現状について話した。
「やっぱりアテネの医学や薬学だとか」
「はい、帝国程進んでおらず」
「それでか」
「コレラの治療もです」
 これもというのだ。
「まだ未熟でした」
「それでか」
「コレラへの対策も治療も未熟で」
「流行していたんだな」
「そうでした、アテネは学問は進んでいますが」
「医学や薬学はか」
「他の学問より遅れていて」 
 源三はさらに話した。
「しかも人口が密集しており特に」
「特に?」
「貧民街がです」
 そちらがというのだ。
「選挙にも参加できない」
「ああ、そちらでか」
「流行ったそうですが」
「あれだな」
 久志はここまで聞いて言った。
「アテネは階級社会だからな」
「選挙に出られる市民は言うなら貴族で」
「それで、だよな」
「選挙に出られない市民は兵役の義務はありますが」
「生活は苦しくてな」
「その環境もです」
 そちらもというのだ。
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