1章
”Life is show time”
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を虚空より出現させた。逃げる意思を一ミリも見せないその姿に、怪物たちの方が驚く。
「貴様! 何故逃げない!?」
炎の怪物の問いに、ハルトはさも当然のように答えた。
「お前たちファントムがいるから」
「何?」
全ての小道具を片付けて、ハルトは告げた。
「だって、アンタたち。ファントムでしょ?」
「貴様、オレたちのことを知っているのか?」
「まあね」
ハルトは小道具を粗方収納し終える。ファントムと呼ぶ怪物たちに向き直り、
「大道芸は副業。本業はこっち」
右手中指を左手で覆う。そのままショーのように、「スリー、トゥー、ワン」のカウントをして、外す。
そこには、先程まではなかった、指輪が付けられていた。
掌の模様をした指輪。それを、同じく掌を象ったベルトのバックルに掲げる。
『ドライバーオン』
すると、起動音とともに、ベルトの上に新たなベルトが出現した。中心には、またしても掌を模したオブジェがかたどられている。ハルトが銀でできたそれを操作すると、掌が右を向く。
『シャバドゥビダッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』
するとどうだろうか。ベルトからは、いとも軽快な音楽が流れ始めたではないか。ハルトはそれに構うことはなく、左手に、ポケットから取り出したルビーをあしらった指輪を取り付ける。
「何をしている?」
「何って……仕事」
次に見るからに高価そうなそれに取り付けられたカバーを下ろす。すると、丁度そのカバーが、ルビーをまるで顔のように仕立て上げた。
「変身」
そう告げるとともに、ハルトは指輪をベルトに掲げる。
『フレイム プリーズ』
その音声とともに、左手を真っ直ぐ伸ばす。すると、伸ばした先に、丸い円陣が生まれた。炎を纏うそれは、やがてハルトの体へ迫っていく。
『ヒー ヒー ヒーヒーヒー』
炎が通過したとき、そこにいたハルトはハルトではなかった。
「な、なんだ貴様は?」
これはどの怪物が言った言葉なのだろうか。それすらも分からないまま、ハルトは……いや、かつてはハルトだった彼は答えた。
「俺はウィザード。来世のために、覚えておいたほうがいいかもよ?」
そこにいたのは、黒いローブ、赤い装飾。掌を模した銀のベルトと、その腰元には複数の指輪が付いたホルスター。
そして、ルビーの仮面をした魔法使い、ウィザードだった。
「ふ、ふざけるな! やれ! グールども!」
怪物たちが、どこからか取り出した石を投げた。地面に落ちたそれらは、黒い煙とともに人型の低級ファントム、グールと化す。灰色の化け物たちは、それぞれ手にした槍を振り回していた。
四体の司令官と、無数の兵士。そん
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