第164話
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ってきた。
制理はわざとやったのではないか、と麻生を疑う。
麻生は麻生で制理の周りに人が集まってきたのを見て、面倒事が起こると感じ自分の席に戻る。
麻生が席に戻ると、すぐ傍では上条が自分で作ったであろうお弁当を食べている。
その後に騒ぎから抜け出してきた、姫神が前の座席の椅子を使い座る。
「騒がしくて。落ち着いて食べれない。」
「どうしてあんな風に騒ぐのか理解できない。」
「恭介って結構この学校では有名だぞ。」
「それは初耳だな。
興味ないけど。」
「貴方も弁当。珍しい。」
「昨日のご飯の詰め合わせだけどな。
姫神は朝から弁当を作ったのか?」
「習慣づけてしまえば。それほど苦労する事もない。」
「その野菜の天ぷら上手そうだな。」
「分けるおかずはない。
やるならトレード。」
そう言って、姫神は野菜の天ぷらをお箸で摘まんで、上条のお弁当に入れる。
対する上条はお弁当の中から、あんまり形の良くない、単身赴任のお父さんが仕方がなく料理を覚えました的な里芋をもらう。
それをちょっと眺めて、口に運ぶ。
上条も貰った天ぷらを食べる。
塩で味付けされていて、とても美味しいかった。
朝から揚げ物を作る所を見ると、努力家なのかもしれない。
「うん、悪くないかも」
言いかけた所で、姫神が唐突に『むぐっ!?』と呻き声をあげた。
喉に手を当てているところを見ると、喉に詰まったらしい。
「だっ、大丈夫か!?」
上条が思わず大声で言っても、姫神から返事はない。
ペットボトルのミネラルウォーターに手を伸ばす姫神は、やや涙目だ。
上条はうろたえたが、姫神は空いた手を自分の背中に回しているのを見て。
「え、何だ。
さすった方が良いのか!」
上条は長い髪に覆われた姫神の真ん中に手を当てて、どれくらいの加減で良いのだろうかと優しく上下させる事にしたが、姫神の苦しそうな震えは収まらない。
「くそっ!
これはもう保健室に連れてった方が!」
「大袈裟だな、おい。」
二人のやり取りを観察しながら麻生は言う。
ちなみに全く心配はしていない。
「むぐ。もぐぐ。」
「あ、そうか。
もっと強くか!?」
後ろに回した手で背中の真ん中辺りを指さしつつ、小刻みに首を縦に振る姫神。
上条は一刻も早くこの状態から姫神を助けるため、もう無我夢中で彼女の指示通りに強く背中をさすったが、ぷちっ、と。
ブラのホックが外れるイレギュラーな感触が上条の指に伝わった。
その途端に姫神は無言で拳を握ると、それを上条のお腹の真ん中へ容赦なく突き刺した。
ズドム!!、というとんでもない音と共に上条の身体がくの字に折れ曲がり、そのまま床に転がった。
姫神
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