第8章:拓かれる可能性
第245話「決して見果てぬ憧憬」
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て爆発させる。
それによって一瞬目晦ましし、その間に転移で包囲を抜け出す。
優奈達が逃げられない原因は既に倒したため、逃走も可能になっていた。
そうと決まれば、全員を倒す必要はない。
「束の間だけど、一度休みましょう」
周囲に敵がいない事を確認し、一息つく帝。
優奈も連戦で疲れていたのか、その場にへたり込んだ。
「………」
帝はエアを、そして自分の体を見る。
エアは相変わらず返答せず、あの時奪われたモノは戻ってきていない。
「……言ってはなんだけど、それが本来の貴方よ。所謂“転生特典”っていうのは、所詮そんなものよ」
「……ああ」
「ま、今の貴方も容姿は整っている方よ。前世がどんな姿だったのかは知らないけど、少なくとも私は今の方がいいわ」
「そ、そうか?」
「ええ。今でこそ違和感はなくなったけど、優輝の記憶を通して見た小学生の貴方は、不自然に容姿が整っていたもの」
他愛のない会話で、少し緊張を和らげる。
それでも、帝はまだ気にかかる事がある様子だった。
「……今更なんだが、あの力は……」
「エアを取り戻した時のものね。……やっぱり、無意識だったんだ」
あれは優奈も驚愕する力だった。
それだけ強い“意志”だったのは分かるが、それでも驚愕に値した。
「原則、いかなる存在……それこそ、神界のどんな神でさえ、“領域”は消し去る事は出来ないの。出来て、砕くところまで。あの時、間違いなく貴方の“領域”は砕かれていたわ。でも、それは裏を返せばそれ以上砕かれる事はないと言う事。それがあの強さの半分の理由よ」
「……例えるなら、死人になったから死なないって事か?」
「人間の尺度で言えばそんな感じね。そして、その上で貴方は強すぎる“意志”の元、動いていた。あの時の“意志”は神すら凌駕していたわ。だから、“格の昇華”がなくなっていても干渉する事が出来た。……尤も、これは“意志”だけね。普通の攻撃ならすり抜けていたはずよ」
「そうなのか?無我夢中だったけど、全部当たってたぞ?」
「全部“意志”が伴ってたからよ。まぁ、あの時の貴方はどんな行動にも“意志”が伴っていたから、“普通なら”なんて例えは関係ないわね」
そもそも強い“意志”がなければ帝は立ち上がる事すら出来ないはずだった。
それを覆す程なのだから、今更攻撃が当たるかどうかは関係なかったのだ。
「本来、“領域”は“意志”と共にあるわ。“領域”が保てるならば、“意志”も保てる。逆もまた然り……ってね。でも、貴方の場合はその二つを切り離していた。だから、“領域”が砕けても立ち上がれたし、“意志”を以って敵を倒せたのよ」
「……そうか」
「まぁ、理
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