第8章:拓かれる可能性
第245話「決して見果てぬ憧憬」
[1/9]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「帝!」
「ッ!」
返答のなくなったエアを手に佇んでいた帝を、優奈が抱える。
同時に、障壁が展開、そこへ理力の槍や矢が突き刺さる。
破られはしなかったものの、何本も貫通しかけていた。
「感傷に浸るなとは言わないけど……その暇はないわよ」
「……ああ。そうだな」
転移し、優奈は帝に言葉を掛ける。
帝も理解していたのか、表面上だけでも目の前の事に切り替えた。
「“天使”は半分程仕留めたわ。でも、肝心の神が残ってる。……今の貴方は、神界の存在から見ても倒れていないのが不思議な状態よ」
「……だからって、休んではいられない……」
「……そう。無理はしない事ね」
今の帝は、先程までと違ってかなり弱くなっている。
エアを取り戻した事で、絶大な力を誇った“意志”を保てなくなったからだ。
しかし、それでも帝は戦う姿勢を崩さなかった。
優奈も止めるような事はせず、創造魔法で剣を分け与えた。
「増援が来る前に、事象干渉系の“性質”を潰すわ」
「分かった」
事象干渉……今回の場合であれば“残酷の性質”の神だ。
戦闘から時間も経過しており、増援がいつ来てもおかしくない状況だ。
そのため、相手の有利を後押しする“性質”だけは潰すつもりなのだ。
「ッ……!?」
「はっ!」
一気に肉薄し、膝蹴りを食らわせる。
同時に掌底で顎をかち上げ、身を捻って横一閃を繰り出した。
「型に嵌れば強いけど、そこから外れれば途端に弱くなるわね」
「ぐっ……ほざけ……!」
「その“領域”、打ち砕くわ」
苦し紛れの反撃を繰り出してきた所を、優奈はカウンターを決める。
胸を穿つように掌底が直撃し、神の体が大きく仰け反る。
「はぁっ!!」
そして、理力による剣によって串刺しにされ、“領域”が砕けた。
先程まで優奈を苦しめていたはずの神の、呆気ない幕切れだ。
「っづ……!」
だが、他の神を無視しての突貫の代償は大きい。
渾身の一撃直後の隙を突かれ、多数の攻撃が集中する。
咄嗟に理力の障壁を多重展開したが、衝撃を殺しきれずに吹き飛ばされる。
「ッ、はっ!!」
体勢を立て直し、追撃ごと自身に干渉してこようとした“性質”を切り裂く。
“デュミナス・スペルマ”を纏わせた剣だからこそ出来た防御だ。
「帝!」
「っ……!」
一方で帝も襲われていた。
先程より強くないとはいえ、それでも負けないという“意志”はある。
そのおかげで、攻撃に耐える事は出来ていた。
「離脱よ!」
「ああ!」
理力を炸裂させ、創造魔法で繰り出していた武器も全
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ