第六十話 ハルケギニア大寒波
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「ねえ、ミシェル。あのジャガイモという作物は、マクシミリアンさまがこの状況で送ってきた物だから、きっと凄い作物だと思うのよ」
「???」
話が見えないミシェルは、クエスチョンマークを幾つも作った。
「今度は、わたしがあの鍋を担当するわ」
「あ、カトレア様、休憩はよろしいので?」
「わたしは良いから、ミシェルは休んでいて」
そう言ってカトレアは、ジャガイモの鍋へ歩いて行き、ミシェルが一人残された。
「私だけが休むわけにいかないじゃないか」
そう言ってミシェルはカトレアの後を追った。
さて、カトレアとミシェルがジャガイモ鍋を覗き込むと、中には蒸かしてあるが皮のむいてないジャガイモが大量に入っていた。
「これって皮ごと食べられるんでしょうかね?」
「むいた方が良いと思うわ。けど、本題はどうやってジャガイモを受け入れてもらうか、ね」
「そうですね」
「……そうねえ。うん」
カトレアは、少し考えて答えを出した。
「何か名案が?」
「わたしに考えがあるからみんなを集めてくれないかしら?」
そう言ってカトレアはにっこり笑った。
……
ミシェルの呼びかけによって、ジャガイモ鍋の前には人だかりが出来ていた。
「なんだなんだ?」
「王太子妃様が何かするらしい」
「あの鍋は、見た事の無い食い物が入っている鍋じゃ」
「アレさ、気味が悪くて、誰も手をつけなかったんだ」
ジャガイモ鍋を見た民衆達の反応は悪かった。
ミシェルが、民衆の前に立ちジャガイモの売込みを始めた。
「このジャガイモは、見た目こそ悪いですが大変優れた作物です。カトレア王太子妃殿下がお勧めする新しい作物を大いに広めましょう」
「マクシミリアン王太子殿下が、トリステインの窮地を知って作って下さった作物です」
と、カトレアが付け加えた。
「両殿下がお勧めになられるのは分かりますが……」
「んだ、得体の知れないものを、口に入れるのは怖いよ」
しかし、民衆は初めて見るジャガイモを怖がっていた。
「……では、わたしが毒見をしますから、それなら大丈夫でしょう」
そう言ってカトレアは、鍋からジャガイモを取り出すと、パクリと一口かじった。
「あ!」
「あ!」
民衆達は騒然となった。
「ああ〜っ!!」
ミシェルも釣られた。
「とっても美味しいですよ」
と、にっこり笑った。
「カトレア様、大丈夫ですか!?」
「大丈夫よミシェル。それよりも貴女がうろたえてどうするの?」
「名案って、カトレア様が自ら毒見される事だったんですか?」
「そうよ、その方が
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