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ペルソナ3 幻影少女
中編
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た。夜、寝静まった後で、みんなに隠れて二人でくすくす笑いながらこっそり食べたのだ。美紀はとてもうれしそうだった。
懐かしい思い出だ。それを知っているのは美紀だけ・・・ということはやはり美紀は本物なのだ。
真田は妙に安堵した。やはり美紀を疑いたくなどなかった。
「そうだな。おかしなことを言って、疑って悪かった。」
悪びれずに頭を下げると、美紀が声を立てて笑った。
「ええー?これで納得したの?甘いなあ、先輩は。」
また違和感。美紀はこんな笑い方をしただろうか? こんな笑い方をするやつは・・・。
「どういうことだ。」
困惑して問い返す。
「お兄ちゃんと『美紀』しか知らないことを知っているからって、私が『美紀』だとは限らないでしょ。」
美紀がまるでダメな生徒に問題の解き方を教えるような口調で言った。
違う。美紀はこんな話し方はしない。いつも自信の無さそうな口調でもじもじと話す子だったはずだ。
「何を言ってる。美紀でなければ誰だというんだ。」
「私が『美紀』じゃないなら、この話を知っているのはお兄ちゃんだけ。つまり私はお兄ちゃんなのかもしれない。」
「意味が分からない。」
真田は混乱して頭を振った。
「つまり、私はお兄ちゃんが頭の中に描いた『美紀』だっていうこと。お兄ちゃんのイメージした『美紀』だったら、お兄ちゃんの知っていることなら何を知っていてもおかしくないよ。」
美紀が自信たっぷりに言う。
「お前が俺の頭に描いたイメージ? いや、しかし・・・お前はもっと控えめで気弱な性格だったはずだ。」
真田の問いかけに、美紀は少し困ったような顔をした。
「それが、なんだかお兄ちゃんの中で、イメージが少し混ざっちゃってるみたいなんだよね。」
(イメージが混ざる?)
真田の脳裏におぼろげに誰かの顔が浮かんで消えた。
「仮にお前の言うとおりだとして・・・イメージであるはずのお前が存在しているなんてことが、どうして起きてるんだ?」
「誰かがもう一度、私が火事で焼け死ぬところをお兄ちゃん見せようとしてるんだよ。」
「・・・!」
「お兄ちゃんの心を痛めつけて、自分の思い通りにするためにね。」
殴られたような衝撃だった。
この事態は何者かの悪意によるもの。真田に狙いを定め、彼の心を打ち砕こうとしているのか。いったい何者が・・・何のために・・・。
考え込む真田に、美紀が明るい口調で言った。
「ほらっ。ここはもうすぐ火事になるんだから、お兄ちゃんは早く外に出ないと、美紀が焼け死ぬとこ見られないでしょ。」

真田の捜索には全員で挑んだ。
タルタロスは常識外の迷宮で、何が起きるかわからない。通常なら、何か起きた時に備えて必ずバックアップ要員を残す。風花以外のバックアップが無いというのはリスクがあるが、限られた時間で手がかりを見つける
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