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ペルソナ3 幻影少女
前編
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あの時と同じ。」
思いつめた厳しい口調で『彼女』が言う。
「何か関係があるのかもしれない。あの時連れていかれた場所を確認したいの。」
テオドアはいつものように落ち着いた物腰で静かに首を振った。
「残念ながら、あの場所は一時的に作られた空間。今はもう存在しません。今回の件はこちらでも何も感じられませんでしたし、あの時とはまた違ったケースのようですね。」
テオドアが申し訳なさそうにそう言う。
「じゃあ、あの時に何があったのか教えて欲しい。なんでもいい、少しでもいい。手がかりが必要なの。」
テオドアは困ったような表情を浮かべた。
そして考えながら、少しずつ言葉にした。
「そうですね。・・・あなた方の戦いを快く思っていない者がいるのです。・・・あの時も、あなたは異空間に引きずり込まれて、その者と対決しました。・・・しかし、その者は本来存在しないはずの者。真に滅ぼすこともまた難しい。・・・そして、今、また、あなた方の戦いに介入しようとしているのでしょう。」
「私・・・どうして覚えていないんだろう。」
『彼女』の辛そうな表情をみて、テオドアも悲しげに言った
「その相手が『本来は存在しないはずの者』だからです。あってはならない出来事だからこそ、あなたはその敵に関することを記憶にとどめることができません。しかし向こうにしても現実では直接介入ができないのです。その為、わざわざ現実ではない場所に引きずり込んで手を出してくるのでしょう。・・・本当にやっかいな相手です。」
「どうしたら、真田先輩を救える?」
『彼女』がすがりつく。強気で物事に動じない『彼女』にしては珍しいことだった。
テオドアはしばし考え、右手人差し指をピンと伸ばした。
「こうしましょう。今夜、もう一度タルタロスに入って下さい。お仲間が消えた場所を探すのです。それさえ見つけていただければ、私にできる限りの力添えはさせていただきます。」
切羽詰まったような『彼女』の表情が、希望と感謝のそれに変わる。
「ありがとう。無事に連れ戻せるかな。」
「最後はあなた方の絆の強さ次第かと・・・。強い絆があれば、必ずや道は開けます。」
「なら大丈夫だよね。私たちの絆は誰にも負けない。」
『彼女』の表情に明るさと強さが戻ってきた。
それを見てテオドアは優しく微笑んだ。
「ええ。私もそう信じています。」

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