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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第48話 帰還
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しません、て、僕が答えたら中佐爆笑してたよ」

 若作りの要塞事務監が、俺を指差して腹を抱えて笑う姿が脳裏をよぎり、思わずF語が口に出る。それを見てアントニナは、わざとらしく眉をしかめつつも頬を緩ませ、俺から若干距離を取った。

「フェザーンで振られたからって心が荒んじゃった兄ちゃんのそんな姿は見たくなかったなぁ〜」
「振られたわけじゃない! ていうか、なんでそんな話までアントニナが知っているんだ?」
「シトレの叔父さんが教えてくれた」
「……」
「ムチャクチャ怒ってたよ。少し白くなってきた頭から湯気が出そうだった」
 いつの間にか俺の手からトランクをもぎ取り、家に向かって押し始めたアントニナが、僅かに顔を傾け、すっかり大人びた女性の流し目で俺を見た。
「言っておくけど、母さんも僕もイロナもムチャクチャ怒ってるんだからね。そこのところはき違えないように」
「あぁ、分かってる。心配かけたな」

 そういうといつものように俺は、トランクを挟んでアントニナの頭の上を掻きむしってやった。そこで右肘の高さがいつの間にか胸の位置になったことに気が付いて、俺はようやく家族の元に戻ってきたと認識することができたのだった。


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