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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第46話 隣地の草刈り
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かもわからないし、残念だとは思うが何故か恐怖を感じない。

 一度後ろを振り向いて憲兵隊を見ると、こちらは誰も拳銃に手をかけていない。標準装備である小銃すら持たず、無言で手を後ろに回して直立不動。治安維持部隊との対比は一層明らかだ。俺は小さく息を吸い込んだ後、治安警察部隊の面々にフィッシャー中佐直伝の無害な笑顔を向けて言った。

「お仕事ご苦労様です。小官はマーロヴィア星域軍管区司令部次席参謀のボロディン大尉と申します。こちらは情報参謀のバグダッシュ大尉。我々は憲兵隊と共に検察長官ヴェルトルト=トルリアーニ氏の逮捕に伺いました。氏は在勤でいらっしゃいますか?」

 笑顔で放たれる言葉の意味を理解するに数秒。治安警察部隊の面々は互いに顔を見合わせ、それが自然と一人に集中する。年配の隊員。袖を見ると四本のラインがあるから勤続二〇年以上というところか。その隊員が小銃を肩に掛け、一歩前に出て俺と対峙する。

「地上における警察権はマーロヴィア検察庁の掌握するところだ。憲兵隊、まして星域管区の軍人ごときがでしゃばるな」

 生意気な孺子め、と言わんばかりに俺を睨みつける。アメリカンドラマによくいる、少し皺が寄り始めたマッチョベテランSWATそのまま。何となく懐かしいものに出会ったみたいで、俺は自然と微笑ましさを感じた。それが気に障ったのか、血管が浮かび上がったゴツイ顔を俺に寄せてくる。

「何がおかしい。それともビビッて声が出ないのか?」
「いえいえ。これほど歓迎していただけるとは思ってもいませんでしたので。失礼ですが指揮官でいらっしゃる? お名前と階級をお伺いしたい」
「カッパーだ。階級は警部補」

 スッと視線をマッチョの胸に向けると、申告通りの名前が縫い付けられている。バグダッシュに視線を向けると、彼は首を振った。残念ながらリストにない人物らしい。

「ではカッパー小隊長。速やかに我々を検察長官の前に導くか、それとも長官をここまで引きずってくるか、どちらかをお願いしたい」
「なに寝ぼけたことを言っているっっっ」
「耳が遠いようだからもう一度言うぞ、カッパー小隊長。速やかに我々を検察長官の前に連れていくか、長官をここまで引きずってくるか。どちらか選べと言ってるんだ」
「貴様!!」
「治安警察だったら拳で喧嘩売る前に、令状と法的根拠を相手に問え。その程度の脳味噌しかないから、海賊にいいようにやられるんだ。歳食っててもその程度のことが分からないのか?」

 これで殴ってくるようだったら、それはそれで結構。一時退散はするが、次は装甲車と装甲服とトマホークでお迎えに上がるつもりだ。丁寧に軋轢なくこちらから令状を見せることも考えたが、根本的に海賊と裏でつながってる奴と繋がってはいないが不作為を決めてる奴しかいない警察の、それも
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