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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第45話 マーロヴィアの後始末
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。航路で暴れまくる暴虐不遜なブラックバート(偽物)とその首謀者(本物)の逮捕。大手海賊集団の降伏など、メスラム星系を波立たせるニュースは事欠かない。海賊に半ば支配されていたようなド田舎の民心は大きく揺れ動いている。

 救われる点はド辺境であるが故に報道機関の存在が極めて少ないことだ。ローカルなメディアはあるが、基本的には星域内というより星系内でしか活動しないレベル。ハイネセンにいるような、政府に対する反骨溢れる独立系ジャーナリストであれば、マーロヴィア星域軍管区司令部の傲慢さはたちまち紙面の標的となっただろう。だれも見向きもしない、ニュースのネタにすらならないド辺境の強みだ。

 だがそれも時間の問題。ロバート=バーソンズ元准将の逮捕は、数日中に中央法務局・国防委員会・憲兵隊本部・統合作戦本部防衛部および法務部の連名で正式に公表される。その場でマーロヴィア行政府要人の逮捕も発表されるだろう。そうなればジャーナリストの二個小隊ぐらいの来訪は覚悟する必要がある。彼らが来訪するまでの一〜二週間で、掃除を終えなくてはならない。どうしたって批判されるだろう。だが結果の良し悪しで、批判の大きさは変化する。

「一週間で片づけましょう。またしばらくバグダッシュ大尉をお借りします」
「今までだってほとんど司令部に顔を出しておらん奴じゃから、好きに扱き使うといいぞ。せっかくの無料レンタル品なんじゃからな」

 まったく面倒なことじゃなと、まだまだ皺のよりが深くない顎を撫でながら、爺様はそういうのだった。



 そうして司令部での打ち合わせを終え、実質八ヶ月ぶりに戻った自分の執務室の扉を開けると、そこにはさも当然と言った表情のバグダッシュがパイプ椅子に座ってワインのラベルを眺めていた。俺が白けた眼で狭い部屋の中を見回すと、腰高ぐらいのワインセラーがいつの間にか壁脇に鎮座している。

「……バグダッシュ大尉」
「おぉ、お久しぶりですな、ボロディン大尉。実働部隊の引率お疲れ様でした」
「えぇ、バグダッシュ大尉がいかに偉大な存在であるか、十分すぎるほど認識できましたよ」
「なんだか気持ち悪い褒めかたですな。これは小官のワインですからいくら煽てても差し上げませんぞ」
「しばらく酒はNGです。憲兵隊を率いて長官の頸を取りに行くんですよね?」

 検察長官の頸を取る前に、業務時間内の飲酒で自分が捕まったらどうするんだと言ったつもりだが、ワインセラーがあるのは俺の執務室(笑なので、この場合、捕まるのは俺になるわけか。非難を諦めて自分の椅子に座ると、バグダッシュはジャケットの胸ポケットから白い封筒と記憶媒体を取り出して俺に手渡した。封筒の中身は中央法務局から憲兵隊本部に出された委任拘束令状。記憶媒体の方は降伏した海賊から搾り取った行政府内の金銭授
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