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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第44話 ブラックバート その3
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佐同様、元准将関係者として軍内部から白い目で見られてきた現実、そして長いこと海賊活動していた故に変貌したかもしれない元上官の現在を想像し、恐れ、逃げたかったのかもしれない。俺は再度、中佐と視線を交わした。中佐はしばらく俺を見ていたが、数秒で目を閉じて頷くと、戦闘艦橋の端へと移動する。オペレーターに予備席の方へ通信を回すよう伝えると、俺はその予備席の前に立った。

 画面が一度乱れた後、数秒してラフハー三四号の個別通信室で後ろに銃を構えた兵士を伴った、准将の制服に身を包んだ一人の老人が映った。顔はわかっていたが、資料に映っていたものより幾分歳をとっているように見えた。原作のムライ中将の髪をごま塩にして、さらに頬を削り取って、目を切れ長にしたらこんな感じだろうか。貧相に見えるがその視線には、長い経験と実績に裏付けられた重みがあった。本来海賊の頭目に対してすることではないのかもしれないが、俺は自然と踵をそろえ、先に彼に向って敬礼した。

「ロバート=バーソンズ元准将閣下でいらっしゃいますね。小官はヴィクトール=ボロディン大尉であります」
 俺の敬礼に対し、スクリーンに映るバーソンズ元准将は、一度眉をしかめた後、おそらく現役の頃と同様の、きっちりとした答礼で応えた。
「ロバート=バーソンズだ。大尉が最近マーロヴィアで暴れまわっている『ブラックバート』とやらの指揮官と考えていいか?」
「はい、任務指揮官とご認識いただいて結構です」
「選り抜きの巡航艦を五隻も率いているわけだから今更海賊とも思わないが、正式な軍籍は有しているのか?」
「はい」

 襲撃された側とした側。元准将で現在海賊の老将と、現在海賊モドキで現役大尉の俺。何となくおかしなやり取りに思えたので、俺が小さく笑みを浮かべると、バーソンズ元准将も痩せた頬を緩ませて、小さく肩をすくめた。

「こんな若造にしてやられたと悔しがるべきだろうが、ここまでしてやられると悔しいとは思えなくなるな。ウッド提督でもここまで上手くいくこともあるまい」
「過分なご評価、恐縮です」
「かつて小官が帝国領内で行ってきた襲撃手順も幾つか参考にしていたようだな。特許料を取りたいものだが、そうもいくまいて。代わりと言ってはなんだが、小官の命と引き換えに、部下の生命の安全を保障してくれるか?」
 冗談のような口調だが、元准将の瞳は笑っていない。まだ何か隠し持っているのかもしれないが、こちらとしてもこれ以上の殺戮は考えていないし、俺もしたくない。
「小官としてはそのつもりでおります、閣下。ですがそれは閣下が余計なことをご計画なさらず、また部下の方々に反抗や逃亡の意志がない事が条件になります」
「余計なこと、か。確かにそうだな。このおいぼれの心臓の横に高性能爆薬を仕掛けることは」

 爆薬と聞いて思わず銃
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