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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第43話 ブラックバート その2
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「ここでブラックバートを完全に叩き潰します。可能であれば准将を捕らえます。故に戦艦への攻撃は航行動力部を中心に、巡航艦二隻に対しては容赦せず」
「よかろう」

 カールセン中佐の深い頷きと共に口に出た重い了承の言葉に、五人の少佐はそれぞれ頷き、各々のなさねばならぬことを果たす為、画面から消える。戦闘宙域となるであろう空間の把握。適切な砲撃を行うための位置取り。連続射撃に備えた砲身の再チェック。戦闘速度へいつでも上げられるよう機関の回路確認に燃料の残量チェック。

 戦闘に際して当たり前のことかもしれない。だがその当たり前のことが、つい数ヶ月前この辺境ではできていなかったのだ。自分が変えた、と思うのは流石に驕りが過ぎる。だが僅かなりとも貢献できたことは誇りに思おう。これから先はどうなるかわからないが。

「跳躍宙点に重力歪が発生……数は三。誤計測でなければ、戦艦一隻、巡航艦二隻と思われます」

 ウエスカの観測オペレーターの声は興奮して大きいものでもなければ、逆に委縮して小さいものでもない。的確な報告、そして適度な緊張感。

「総員、第一級臨戦態勢を取れ」

 カールセン中佐の瞳は、メインスクリーンに映し出された、三つの光点へと注がれていた。
 

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