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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第42話 ブラックバート その1
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艦が曳航してくれるだろう」
「ありがとうございます。すぐに艦長に連絡いたします」
「資材の運搬上、シャトルでは困難が予想される。接舷させてもらうがよいか?」
「承知いたしました。お待ちしております」

 お互いに敬礼して画面が消えると、狭い戦闘艦橋ではオペレーターや、不在扱いにされた航海長達が今にも吹き出しそうに肩を震わせていた。

「よく素面でスラスラと嘘がつけるものだな」
 艦長席に戻ってきたカールセン中佐が呆れた口調で俺に言った。
「接舷したいというのは、奴らこのウエスカを乗っ取るつもりか」
「若造だと思って組みやすしと、思ったのでしょう。あの少佐は装甲服でご馳走して差し上げたいと思いますが、問題は戦艦と巡航艦です」
「嚮導巡航艦を乗っ取るつもりなら、駆逐艦からはかなりの数の要員を送り込んでくるだろうから、接舷状態を維持し、戦艦と巡航艦の油断を誘いつつ、撃破の機会をうかがう形になるな」

 巡航艦一隻で戦艦と巡航艦二隻は相手にできない。商船と自称するのも海賊の武装船に違いはなく、残りの駆逐艦一隻も計算に入れなくてはならない。だが規模は予想の範囲内ではある。

「各艦にツーマンセル戦術を指示しましょう。当艦近辺に遊弋したタイミングで前方を航行中の『護衛船団』を襲撃してもらいます。急襲すれば駆逐艦一隻と改造武装船九隻です。状況が許せば跳躍宙点付近に機雷を撒きましょう」
「……それは後で一基残らず回収しないと、完全に軍規違反になるな」

 カールセン中佐はつまらなさそうな口調で言ったが、その言葉に反してその目には闘争心があふれていた。
 

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