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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第39話 猛将の根源
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、俺自身は荊の上で作戦遂行する事になるだろうと痛感せざるを得なかった。

 そして宇宙暦七八八年二月一四日。全ての準備が整い、爺様の執務室にマーロヴィア星域管区司令部要員が集まり、作戦名『草刈り』の状況開始が爺様の口から宣告される。すでにコクランはライガール星域管区に、バグダッシュはすでに階級章と制服を官舎において行方をくらましており、ここには最初の四人しかいない。

「兵卒上がりの年上の上官の操縦方法を、存分に学んでくるがいいぞ」
 カールセン中佐の上申を何度も受けた爺様は、俺の敬礼に面倒くさそうに応じた後、そう言った。
「ジュニアの命令は儂の命令じゃと口酸っぱく言っておいたからの。カールセンの血圧は十分すぎるほど上がっておるだろうて」
「……主力部隊の運用と機雷の改造・敷設に関しては、我々に任せてもらおう。ブラックバートに襲撃される船団についても準備は整えておく。一応、問題ないとは思うが行き違いの場合、三重の暗号で交信する事になるが、貴官の方の最終返答符号はどうする?」
 陽気に笑っている爺様をよそに、モンシャルマン大佐は真剣な表情で俺に言った。

 正規軍と偽装海賊が八百長を演じるとはいえ、傍から見て演技とわかるようなようでは不味い。特に護衛船団に随行する民間船の乗員乗客にばれないよう、その襲撃は真剣なものになる。事前にどの護衛船団を襲うかはある程度決まっているのだが、状況によってはアドリブもかますことになる。

 その為の誰何符号も用意してあるが、護衛船団側から発信された符号に対しての返答符号が必要になる。返答符号がなければ、護衛艦艇は本物の海賊として容赦なく反撃することになる。軍用通信を盗聴するレベルの海賊になれば、返答符号を必死に考えようとするだろうし、バグダッシュも盛んに偽情報を流している。
 俺が大佐からファイフェルに視線を動かすと、ファイフェルはすぐに自分のポケットから紙のメモ帳を取り出し、ペンをインクモードで起動する。

「末尾一の日はアントニナ。二の日はイロナ。三の日はラリサ。四の日はドミニク。五の日はレーナ。六の日はカーテローゼ。七の日はフレデリカ。八の日はアンネローゼ。九の日はヒルダ。〇の日はマリーカ。で」

「……まぁ、なんというか。ボロディン大尉らしいというか」
「それほどプライベートが充実しておったのじゃったら、もう少しこき使ってやるんじゃったわい」
「フェザーン駐在武官というのは相当役得があるんですね」
 三人が三人をして、何となく白けたような呆れたような口調で答えたので、俺は無言で肩をすくめた。まぁ実際役得といえば役得であったわけだし、それが原因でこんな辺境に流されたわけだが。

「誰も想像しない符号だろうから、各護衛船団の指揮官にのみ伝えておこう」
 数回咳払いしてからモンシ
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