第二十八話 見守る者達
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張っていった。
…あの一年前の事件までは。
「そうだったんですね…ヴァンが一年間、一人でも戦ってこれたのはジルウェさんのペンダントと言葉のおかげだったんですね…」
「ええ…あの時は、まさかこんなことになるとは思っていませんでしたが…」
あの時、本当に小さかったヴァンが…今ではエールと同じでセルパン・カンパニーとモデルVの脅威に対する希望なのだ。
まだ子供の域を越えていない二人がだ。
「もし、こんな体じゃなければ…あいつらと一緒に戦ってやれるのにな…」
外見は普通でも、内部にガタが来ているためにジルウェは戦える体ではないのだ。
二人の家族の代わりに自分がヴァンとエールを守ると、二人を引き取った時に誓ったはずなのに。
「よう、辛気臭い顔してるなジルウェ」
「あんたがそんな顔してるとあいつらが心配しちまうよ?ほら、眉間にこんなに皺寄せちゃって」
「トン…セードル…」
大柄な体格のガーディアンメンバーのトンがジルウェの肩に手を置き、トンの後ろから赤髪の女性メンバーのセードルが苦笑しながらジルウェの眉間を指で突ついた。
「まあ、分かる気はするけどね。争いを起こすのは何時だってセルパンみたいな身勝手な奴さ。そして被害を受けるのは決まってヴァンやエール、そしてサルディーヌみたいな優しい子供達だよ。」
カルレも飲み物を片手に此方にやって来た。
「で、ですが…ぼ、僕達では…フォルスロイドの相手は…荷が重いです…し…」
「いや、それ以前にお前は怖がって部屋に引き籠ってんだろうがコングル」
スコンブレソスがコングルの言葉に呆れながら言うと、全員が再度喧嘩する二人を見つめた。
「儂らがどう思おうと敵はそんなことお構いなしに攻めて来る。雑魚なら儂らでもどうにかなるが、フォルスロイドクラスとなるとヴァンとエールに頼らなきゃならん…子供に頼らなきゃならないとは…揃って無能な大人達だ…」
トンが二人を見つめながら呟き、それを聞いたこの場にいるメンバーが俯いた。
「…………」
プレリーはそんな会話を聞きながら昔のことを思い返していた。
まだ“お兄ちゃん”が目覚めたばかりの頃、“お姉ちゃん”が率いていた組織は戦闘は素人の集まりだったこともあり、“お兄ちゃん”にばかり負担がかかっていた。
あの時の“お兄ちゃん”を見送っていた“お姉ちゃん”達も今の自分達と同じ気持ちだったのだろうか…。
「(お姉ちゃん…お兄ちゃん…お願い…二人を守ってあげて…)」
今はここにいない姉と兄にプレリーは願った。
「ところでエール。これからトレーニングルームで特訓に付き合ってくれないか?新しい技が浮かんだんだ。」
「それ、アタシに実験台になれってこと?」
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