暁 〜小説投稿サイト〜
その日、全てが始まった
第2章:奔走
第10話 『集いし想い』
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を歩く洸夜だが、不意に足を止める。

「そっちか……?」

 呟くと道を外れ、茂みの中へと踏み込んでいく。
 そして、茂みを抜けた先で洸夜は友希那を見つける。

「湊……」

 木の根本に蹲る友希那に声をかける洸夜。
 だが、友希那からの返答はない。

「湊、教えてくれ……」

 片膝立ちになりながら友希那へと問い掛ける洸夜。

「お前が……どうしたいのか……」
「決まってるじゃない……どんな事しても……『FWF』に出ることよ!」
「……だろうな」

 答えた友希那に分かり切っている、と言った具合に答える洸夜。

「じゃあ……なんで聞いたのよ……!」
「お前の……本当の思いかどうかを確かめるためだよ」

 そう言って背を向ける洸夜。

「でも……今のはお前の本当の気持ちじゃない」
「私の……本心じゃない?」
「そうだ」

 友希那の言葉に頷く洸夜。
 そんな洸夜に、友希那は噛みつく。

「貴方に……何がわかるのよ……」
「正直なところ分からない。ただ、目の前の物事から背を向けて逃げようとしてるのはわかる」

 そう言った洸夜は、友希那の方へと振り向く。

「だから教えてくれ???湊の……いや、友希那(・・・)の本当の気持ちを」

 登り始めた月を背に、洸夜はそう告げるのだった。
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