第2章:奔走
第10話 『集いし想い』
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している。
普通に過ごしていればほぼ関わることもゼロに等しい。
「2人って、結構遠いところに通ってるんだな……」
「ああ」
洸夜の言葉に返答した祐治は、続けざまに洸夜へと問い掛ける。
「……で、大分話が逸れたが、何を悩んでたんだ?」
「実はな……」
そう切り出した洸夜は、昨日起こった出来事を2人に打ち明けた。
「なるほど……。それでどうしたらいいのか悩んでいたってわけか」
「うん……」
そう答え俯く洸夜。
「普通に1人1人に会って話すのが1番じゃないか?」
「やっぱりか……でも、それをやるとしたらバンドの練習時間が無くなっちまうんだよ」
雅人の提案にそう返す洸夜。
すると、ここまで黙って聞いていた祐治が口を開く。
「なら???そっちに専念しろ」
「な……祐治!?」
予想外の言葉に驚愕する雅人。
その傍らで、雅人同様に驚く洸夜が口を開く。
「……いいのか祐治?」
「ああ。その代わり、その問題が解決するまで練習に顔出すなよ」
「祐治……そこまで言わなくても」
「……分かった」
祐治の言葉に頷く洸夜。
「おま……正気かよ?」
「ああ。祐治、その代わり……って言ったらアレかも知れないが、練習曲の譜面とデータ送っといて。自主練しとくから」
「はいよ。いつ送ればいい?」
「今日の昼休みにでも」
「ん」
洸夜の言葉に短く返答する祐治。
対する洸夜は、机の上の物を片付け始める。
「どっかいくのか?」
「ああ。この後用事があるんでちょっくら失礼」
2人にそう告げた洸夜は、筆箱のみを掴むとそのまま教室を出て行く。
そんな洸夜を見送った直後、焦った様子で雅人が口を開く。
「お、おい……」
「どうした?」
「いいのか……アイツを練習に来させなくて? いくら自主練するたって、技術が落ちちまうだろ……?」
「なあ雅人、この学年の入学時の首席って誰だか知ってるか?」
「え、なんだよ急に?」
祐治の突然の問い掛けに戸惑う雅人。
「知ってるか?」
「いや……知らない」
「洸夜だ、って言ったら信じるか?」
「いやいや……冗談だろ?」
苦笑しながら言葉を返す雅人だが、真剣な表情のままでいる祐治を見て、先程の彼の発言が事実である事を察する。
「マジ……なのか」
「ああ。入学式の時新入生代表の言葉をやってたぞ」
「あいつそんなに頭良かったのか……」
「あいつは、様々な事に於いて才能がある人間なんだ。音楽に関しては特に」
過去を振り返る様に語る祐治。
そんな祐治に雅人はこう尋ねる。
「祐治はそれを分かっていたからあんな事を……?」
「ああ」
雅人の言葉に頷く祐治。
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