§9 戦禍来々
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だ。認識阻害をかけていることに感謝しつつ家路を急ぐ。
「治癒は苦手なんだよな……」
出血自体は収まりつつあるものの恵那の容態は回復しない。こんなことなら本当、治癒を習っておけばよかった。反則染みた再生能力と規格外の呪術耐性のおかげで治癒など必要としなかったのだが、まさかこんなところで裏目に出るなんて。
「マスターは身体の構造上やむなしかと。いつも自己再生ですし」
この際泣き言は言っていられない。やらないよりはマシだろう。恵那へ呪力を送り治癒の術をかける。
「早く帰って風呂に投げ込もう」
「少名毘古那神の力ですか。……治癒を名目に女の子を全裸にするとか鬼畜ですね」
「このまま突っ込むわ!」
お湯の量を少なめにしておけば溺死はしないだろう。それにいくら治癒のためとはいえ女の子の衣服を勝手に脱がすのはいけない気がする。
「マスター」
「わかってる」
真剣な声音になったエルに返す。恵那を戦闘不能にしてくれたお礼はきっちりしよう。もっとも、恵那の自業自得とも言えるのだが。
「恵那の手当てだけしたら行くから。エルは恵那を看てて」
アパートに戻ると恵那を部屋に寝かせる。出血箇所が多い上に雨に当たっているので衰弱が激しい。激しい振動が悪影響を与えること覚悟で疾走すべきだったか。応急処置レベルでもいいから手当ての方法を学んでおくべきだったと今更後悔してしまう。
「マスター、お湯入れてきました。私見てますけど溺死しないレベルの水量にしてくださいね?」
エルに頷き、恵那の部屋に侵入。流石に箪笥を開けるのは気が引けるので、壁にかかっている千早を一着持って退室、バスタオルと共に脱衣所の籠に入れる。水量を確認。まぁ、こんなものだろう。
「あっつ」
右手を浸し、少名毘古那神のもうひとつの権能を発動、温泉療法の創始者たる彼にかかればただの風呂を治癒効果のある秘湯に変えるなど造作も無い。今回の風呂は傷・疲労に良く効くように効能を調整した。ついでに温度も適温にする。火傷されたら怪我が増えてしまう。これならば即効性こそないものの、数時間つけておけば全治するだろう。
「ま、こんなもんか」
一人で納得し、恵那を抱いてくるために部屋まで戻る。抱きかかえて風呂まで運ぶ。出血していなければ、アヤシイ雰囲気にみえないこともない。今は別の意味で怪しいが。
「よっと。……服濡れるけど勘弁ね」
服を着せたまま浴槽へそっと下ろす。脱がす脱がさないで葛藤したのは心の隅にしまっておく。お湯につける瞬間に、恵那が僅かに身じろぎした。
「エル、後は頼むね」
エルが浴槽にやってくるのと入れ替わりで黎斗は部屋に戻る。ふと、見下ろ
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