§9 戦禍来々
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れーとさんつまんなーい」
大丈夫と言われても、相手を鑑みるに大丈夫の根拠が全く無い。戦闘の余波で吹き飛ばされるだろうに。
「つまんなくて結構。帰るの!」
なんだろう。駄々をこねている子供をしかる親の気分だ。ジト目でつまらないと言われてもひくわけにはいかない。最悪、ディオニュソスを使うか。
「マスター、恵那さん、囲まれてますよ」
周囲を見渡せば、死人が自分達を包囲しようとしている。全員がそこそこの使い手、さらに大騎士クラスもいくつか見受けられる。数が多いから恵那を連れての逃走は厳しい。即、全滅させる方針に変更。
「……はぁ、こいつら殲滅したら逃亡するよ」
「しょーがないなァ、と言いたいところなんだけれど。……多分コレって相手の力の一端だよね。たしかになーんか恵那では荷が重そうかも。逃げちゃったほうがいいみたい?」
この死者達が恵那の説得に役立ってくるとは皮肉なものだ。大体ビックリな野生の勘があるんだから相手の危険を察してほしかったと思うのは我侭だろうか?
「うし、じゃあ蹴散らしますか。……恵那も行ける?」
傘を構えつつ、恵那に尋ねる。ロンギヌスを使えば恵那に正体がバレるだけでなく、死者を通してあのカンピオーネにも気づかれかねない。もし彼が来た場合、恵那を守りながらの戦闘は困難を極める。今日が満月か新月だったら月読命の権能でなんとかなったのだが、無いものねだりをしてもしょうがない。こんなに早く傘で戦うことになるのは少々予想外だが、まぁなんとかなるだろう。
「恵那は大丈夫だけど…… れーとさん、戦えるの? ってか傘で戦うの?」
戸惑いを含んだ表情で恵那が返事をよこす。傘2本で戦おうとすれば、当然か。
「うん」
「恵那をあっさり見つけて追いつくくらいだから、強いんだろうけれど、あんま強そうに見えないんだよね……」
いかにも安物な傘で大騎士級の死霊軍団と張り合おうとすればそう言われるのもしょうがない。
「まぁまぁ。これでも僕、そこそこ強いよ」
そう返し、両手に傘を持ち、駆け出す。大騎士級はおそらくこの半数。恵那でもおそらく荷が重いこの敵は大半を自分が倒さねばならないだろう。
相手の刺突を避け、間合いに入り込む。呪力で強化した右手の傘で、左下から切り上げる。と、同時に左の傘を投擲、音速を超え放たれた傘は狙い違わず前方の死者の心臓を貫通し、後続の頭を粉砕し、その後ろの身体をビルに縫い付けてようやく止まった。空いた左手で切り裂いた死者の持つ剣を奪い、左側の死者を頭から切り下ろす。背後からの一閃を地に伏せ見ずに回避、そのまま回転し右に薙いで両断する。回るついでの蹴りで何人か吹き飛ばすことも忘れない。
「……ざっとこんなもんか」
生前名を馳せた
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