§9 戦禍来々
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う訳にはいくまい。盗む、奪うという論外な選択肢は当然却下。欲しいからといって相手の都合を無視したらいけません。
この辺りの思考はパンドラに言わせると異色だとか。もっとも「まぁ、まだ化けの皮が剥がれていないだけかも。千年も被り続けるとかホント根性あるわねぇ」などと恐ろしいことを言っていた気もするが。本来パンドラの事を現世で思い出すことはできないらしいのだが、なんの因果かバラキエルに召喚された際にも色々変化があったらしくそのまま記憶しておくことができているらしい。おかげで「神殺し一の変態」などという不名誉なあだ名をつけられそうになる寸前にまで追い詰められたことがある。補足しておくとこの場合の変態というのは「正常ではない」という意味であって「キャー!!変態よー!!」の変態ではない。けっして。
「でもそんなの持ってたら銃刀法違反にならないようにごまかさなきゃか。めんどくさっ」
銃器や刀剣の類も入手が容易ではない上に迂闊に大衆の目に晒してしまえば銃刀法違反で警察に捕まってしまう。昔と違って大変な時代になったものだ。
「まー隣人の家から銃火器がごそっと出てきたら僕もびびるし、武器の入手が困難なのは良いことか」
アパートの各部屋から爆薬だのミサイルが出てくる様子を想像し青くなる。やっぱり法律があってよかった、と思う黎斗だった。
得物について考えた翌日の夜。
不穏な気配に、目が覚めた。背中を嫌な汗が伝ってくる。今日は早く寝たのになんてことだ。
「ん……?」
「あ、れーとさんもこのイヤな気配感じたの?」
目を開ければ、何時の間に着替えたのか、巫女装束の恵那が草薙の剣を片手に出て行こうとしている。
「どうなってんの?」
「わかんない。なんとなくヤな予感がするの。私ちょっと様子見てくるかられーとさん待ってて」
おそらくあのカンピオーネが暴れ始めたのだろう。それ以外に要因が無い。ここ数日平和が続いていたから、争いは起こらないと思ったのだがどうやらそれは儚い願いだったようだ。相手は護堂だろうか? 事態がよくわからない。もし、カンピオーネ同士の争いなら恵那がいくら強かろうが敵うわけがない。
「危険だから外にでちゃダメだって」
恵那に声をかけながら外を眺めた。カイムの権能を発動、木々から情報を得ようと試みる。流浪の守護のおかげで至近距離で発動しても恵那に気づかれた様子は無い。
「大丈夫だって。こう見えても恵那強いんだよ? れーとさんを守ってあげられるくらい。じゃ、いってきまーす」
「は!? ちょ、待てってば!!」
やんちゃな娘さんは止める暇なく外へ飛び出していった。猪武者じゃあるまいし、口に出かけた言葉を飲み込む。そんな悠長なことを言って入られない。
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