第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十四 〜会議と密談〜
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ないぐらいの分別はあったと思います」
それであのような手段を講じた次第か。
才気煥発と麗羽は申したが、策を弄するようでは底が見えておる。
明らかな嫌がらせではなく、あれは気づかねば私も含め死人が出ていても不思議ではなかった。
当人はそれで溜飲を下げたやも知れぬが、やはり見過ごせぬ。
平時であれば糺しても良いが、今は猶予はない。
「それで麗羽。その高幹は今何処だ?」
「それが……」
言い淀む麗羽。
「どうした?」
「華琳さんとの戦に備えるとの口実で、平原に向かいました」
「勝手に兵を動かしたと申すか? 如何に親族とは言え、それは越権行為だぞ」
「わたくしもそう言ったのです。ですが、一族の私兵を私財で動かすだけだ……と」
「……その様子だと、高幹一人ではないのだな?」
「……はい。わたくしの一族で主だった方々は全て高幹と共に」
袁一族はまとまりに欠けるとは聞いていたが、何と愚かな。
華琳は生易しい相手ではない、その程度もわからぬとは。
私を妬むのは構わぬが、我らが敗れれば次は自分達の番だと……わかっていたとしても抑えられぬか。
「やむを得ぬ。高幹らは捨て置く」
「宜しいのですか?」
「我らの足を引っ張る、或いは華琳に加担するなら話は別だ。そうなったら容赦なく叩き潰す」
「……致し方ありませんわ。そうなったとしても、それは自業自得でしょうから」
「ただし、念の為見張りはつけておく。後背を襲われてはたまらぬ」
手当は、月らが合流した後に皆に諮るとしよう。
まだ何か裏があるやも知れぬが、それは高幹と問い質すしかあるまい。
「私の方からはこれで終わりだ。では、麗羽の話を聞こうか」
「あ、そ……そうでしたわね。お師様、お茶のお代わりは如何ですか?」
「麗羽。手が震えておるようだが」
「え? お、オーッホッホッホ。む、武者震いって奴ですわ!」
声まで震えていては説得力もないのだがな。
それを言えば更に縮こまりそうではあるが。
「今は二人きりだ。遠慮は要らぬ」
「え、遠慮はしてませんわ。ええ、遠慮なんて……」
「では何故言い辛そうなのだ?」
「……ハァ」
深い溜め息をつき、麗羽は私の方に身体を向けた。
「あ、あの……。お師様、真剣に聞いて下さいますか?」
「私がいつ不真面目にお前の話を聞いた? 揶揄するつもりなどない」
「そ、そうでしたわね。申し訳ございません」
「謝らずとも良い。切り出せぬのならまた日を改めても良いが」
「いえ。もうそんな余裕もなくなります。今のうちに、どうしてもお師様にお伝えしたい事がありますの」
「そうか」
暫し、待ってやるとするか。
まだ夜更けには程遠い、今宵だけならば刻はある。
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